携帯電話の利用ががんを引き起こす可能性があるとする主張に対し、否定的な見解を示す新たなレポートが発表された。
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)疫学分科会の研究チームは、学術誌「Environmental Health Perspectives」に提出し米国時間7月1日に公開された論文の中で、「不確定要素は残っているが、証拠の蓄積に伴い、携帯電話の利用が大人に脳腫瘍を引き起こし得るという仮説に反する傾向が強まっている」と結論づけた。
研究チームは同誌の論文で、さまざまな年齢層の男女の脳腫瘍の事例について、携帯電話発売の前後、両方の時期における調査結果を発表した。研究者らは、1970年から2008年の間、がんの事例に比較的動きのない状態が続いていたことを発見した。
また研究チームは、同じテーマに関するほかの研究も参照している。
研究者らは次のように書いた。「方法論上の制限により、インターホン(の研究)から引き出せる結論には限界があるものの、その結果は、ほかの疫学的研究、生物学的研究、動物実験の結果や、脳腫瘍の発生率の傾向と同じく、携帯電話を使用開始した後10~15年以内に、大人の脳腫瘍の危険性が大きく高まる可能性は低いことを示している」
携帯電話ががんを引き起こす可能性の有無をめぐっては、長年にわたり激しく議論が交わされてきた。
この論争は、2011年5月に1つの転換点を迎えた。世界保健機関(WHO)の研究機関が、携帯機器を「発がんの危険がある」と分類したのだ。同じカテゴリーには、ガソリンエンジンの排気、鉛、コーヒーなども含まれている。
WHOはそれまで、携帯電話の利用と発がんにつながりは見つからないと述べていた。最近の調査結果と分類においても、明確なつながりはまだ見つからないと認めたうえで、さらなる研究が必要だと述べた。
今回の最新の研究にかかわった研究者らも、なすべき作業がまだたくさんあることを認めている。彼らはまた、「子供の腫瘍と、15年を超える期間」のデータが「現在不足している」ため、特に子供のがんの危険性の調査は難しいと指摘した。ただし、研究者チームによると、少なくとも今のところは、携帯電話ががんを引き起こさないように見える証拠が積み重なっているという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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