Mozillaは6月21日に、ウェブブラウザの最新版「Firefox 5」をリリースする。以降、Firefoxは6週間ごとに最新版がリリースされ、12月20日には「Firefox 9」が登場する予定だ。
MozillaはこれまでFirefoxのメジャーバージョンアップに1~2年の期間を費やしてきた。予定される機能を安定した状態で提供できるようにするため、たびたびリリースを延期することもあった。
だが今後はMozillaもGoogle Chromeのような“ラピッドリリース”スタイルを取ることになる。まずリリーススケジュールを決定し、その期間内に開発が完了した新機能のみを最新版に組み込んでいく。不安定な機能があった場合は、リリースを延期するのではなく、その機能を外すことになる。新機能よりもスケジュールにフォーカスしてリリースしていくということだ。
この背景にあるのは、ソフトウェアアップデートに関する新たな流行だ。Google Chromeは6週間おきに新しいバージョンが登場する。ユーザーは特に意識せずにブラウザを再起動したタイミングで、最新版にアップデートできる。広く使われ始めているウェブアプリケーションも、アクセスするたびにインターフェースが改良されていたり、新機能が加わっていたりということがよくある。また人々はiPhoneアプリなどでソフトウェアの頻繁なアップデートに慣れ始めている。
こうしたことから、1~2年規模の長期スパンでのアップデートはユーザーの利用実態にそぐわなくなってきた。もともとFirefoxはセキュリティや安定性に対するアップデートは素早く実施している。今後は安全面の更新と機能向上を区別せず、6週間おきに提供していく。ただしゼロデイのような緊急セキュリティリリースは随時実施する。
6週間おきに最新版がリリースされると、新機能の開発が間に合わず、前バージョンとあまり変わらないのではないかという懸念もある。それについて、Mozilla Japan テクニカルマーケティングの浅井智也氏は、「これまでFirefoxは長い期間をかけてメジャーバージョンアップを提供してきたが、それは開発が遅かったからではなく、単に膨大な量の機能追加があったから。今後リリース周期が早まっても新機能や改善点は搭載できる」と話す。
リリース日はそれぞれ米国時間で、Firefox 5が6月21日、Firefox 6が8月16日、Firefox 7が9月27日、Firefox 8が11月1日、Firefox 9が12月20日となる。すべてFirefoxの起動時に自動でアップデートされる。火曜日にリリースするのは、週末に最後の確認を行える、月曜日では時差でリリース日が日曜日になってしまう地域があるといった理由からだ。
ところで開発者やユーザーにとって、最も影響が出そうなのはアドオンの互換性である。これまでFirefoxユーザーはメジャーバージョンアップのたびに、一部のアドオンが使えず、しばらくの間、不便な思いをすることが多かった。それがFirefox 5以降はデフォルトでアドオンの互換性が保たれることになる。例外的に互換性のないアドオンが出る可能性はあるが、それも機械的に検出され、ベータ版の段階でいち早く開発者に通知される仕組みになっているという。アドオンの互換性の問題は以前より小さくなっているようだ。
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