解説:白参戦で無敵?--iPhoneと仮面ライダーの共通点

 アップルが、いよいよ日本でiPad 2とiPhone 4のホワイトモデルを発売した。震災の影響もあり、いずれも発表から長く待たされた製品だけに、アップルファンの中には待ちかねた人も多いことだろう。特にiPhone 4のホワイトモデルについては、発表から10カ月間も間が空いてしまったこともあり、iPhone 5のうわさが漏れ聞こえる中「待ちくたびれた」との意見もあるようだ。

 2010年6月24日に発売されたiPhone 4は、製品発表では「ブラックモデルとホワイトモデルの2色を用意する」としていたものの、発売前日にホワイトモデルだけ発売を延期することを発表。7月後半には出荷できるとしていたものの、その後も、2010年後半あるいは2010年内へと延期。iPhone 4の販売開始から10カ月も発売されない状態が続いていた。延期の理由としては「予想以上に製造が難しい」ということだったが、いよいよ製造上の課題は解決されたようだ。

 昨今のいくつかの市場データをみると、iPhone 4の売れ行きが減速しているような印象を受ける。

 BCNの調査によると、スマートフォン市場におけるOS別販売台数シェアは、2010年11月以降、5カ月連続でAndroidが、iOS(iPhone)を上回っている。最新データとなる2011年3月の集計では、Androidが77.8%に対して、iOSが21.9%となっており、さらにその差が広がっている。中でも、3月24日にNTTドコモから発売されたAndroid搭載の「Xperia arc」は、発売直後から爆発的な売れ行きをみせた。

 BCNでは、かつての「iPhone 3G」の発売初日の販売台数を100として、それぞれの機種の売れ行きの推移を比較しているが、それをみてもXperia arcの初速はこれまでに例をみないものとなっているのがわかる。発売1週間の販売指数は、なんと450を超える実績。これまで最も初速が良かったauのIS03で300強。iPhone 4では150強であったことに比べると、その人気ぶりが伺える。

スマートフォンの累計販売台数指数-初速比較(出典:BCN) スマートフォンの累計販売台数指数-初速比較(出典:BCN) ※クリックすると拡大画像が見られます

 だが、その一方で、長期的な販売動向をみると、一転してiPhone 4に軍配があがる。

 これまでのAndroid搭載スマートフォンは、すべての製品が時期を経るごとに減速していくが、iPhone 4は、発売後の勢いをそのまま維持して長期的に販売台数を伸ばしていく傾向がある。

 2011年3月の機種別売れ筋ランキングをみると、1位は垂直立ち上げに成功し、8.3%のシェアを獲得したXperia arcだが、2位には発売から9カ月を経過したiPhone 4の16Gバイト版が入る。これに別集計されている32Gバイト版を足すとシェアは10.3%となり、Xperia arcを抜き、事実上の首位となる。

スマートフォンの累計販売台数指数-主要機種別(出典:BCN) スマートフォンの累計販売台数指数-主要機種別(出典:BCN) ※クリックすると拡大画像が見られます

 Android搭載スマートフォンは、新たなものが出ては消え、そしてまた新たなものが登場するという繰り返し。それに対して、iPhoneは、約1年間に渡って継続的に同じモデルが販売され、それが常に首位を争っているという状態だ。この構造をあるアップル関係者は「16Gバイトと32Gバイトという2人の仮面ライダーが、毎週次々と登場する敵の怪人(=Android搭載スマートフォン)をなぎ倒している状況」と表現する。

 そして、ここにきてiPhone 4のホワイトモデル投入である。これでiPhone 4の販売にもう一段加速がつくと見られている。「たかが別色モデルの投入」と言う人もいるだろうが、ホワイトモデルを待っていたユーザーはかなりいる。iPhone 5の発売時期が、例年のiPhone発売時期とされる6月からはずれ込むだろうとの憶測が広がるなかで、発売10カ月目にホワイトモデルという起爆剤が用意されていたことは想定外だったともいえる。さながら、ストーリー後半での強力な味方イケメンライダー登場といった展開だ。

 iPhoneのもうひとつの特徴は、購入後の満足度の高さだ。

 先ごろ、インターネット調査会社のマクロミルが発表したスマートフォンに関する調査では、Androidの所有者の満足度が64.2%なのに対して、iPhoneは80.4%と、より高い満足度を示していた。また、アプリケーションのダウンロード本数は、Androidが無料アプリが18.0本、有料アプリがわずか1.2本であるのに対して、iPhoneの場合は無料アプリで38.8本、有料アプリで8.5本と圧倒的な差になっているのだ。

 App Storeで人気のアプリケーションがAndroidマーケットにも移植されているという声を聞くが、実は4月18日時点でApp Storeでのベスト50のうち、Androidマーケットで購入できるのはわずか7本。しかも日本円で購入できるのは2本だけだという。こうした点も利用されるアプリケーション数の差につながっているのだろう。

 そして、KDDI系列のmedibaの調査によると、Android搭載スマートフォンの女性購入比率が18%であるのに対して、iPhoneは49%にも達しており、しかも、20~34歳の女性が全体の3割を占めていることが分かったという。女性層に高い人気を誇るのもiPhoneの特徴のひとつだ。

 ホワイトカラーは女性に人気が高いモデルでもある。それだけに女性層の購入比率が高いiPhoneにおいては、ホワイトモデルの発売が、起爆剤として高い効果を持つことになる。

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