Imagine Cupで同志社チームが念願の世界大会進出--遠隔診断システムで1位 - (page 2)

岩本有平 (編集部)2011年04月28日 21時30分

 SunDonationは、スレート端末に広告を配信し、その売り上げを寄付に回すというもの。Wi-Fiを提供する店舗などに端末を設置。来店者がWi-Fiを利用したい場合、端末上の広告を閲覧することでアクセスキーを取得できる。また広告の閲覧によって発生する広告費は寄付されるという仕組み。

 広告売上を募金に回すことで、店舗利用者は金銭的な負担をせず、継続的に募金を行える。広告は時間や店舗を指定して配信できるほか、将来的には顔認識技術を用いて配信広告の最適化を図っていく。

 なおソフトウェアデザイン部門の2位には、関西大学大学院のメンバーで構成された「KAISER」、3位は関西学院大学の「PIJIN」となった。KAISERは視覚障害者支援システム「The Third Eye」、PIJINは多言語での自然文検索プラットフォーム「PIJIN」を発表。組み込み開発部門は、可視光通信によるアイドリング制御システムを発表した東京工業高等専門学校の「cocclo」、新興国向け電子投票システム「Desk」を発表したサレジオ工業高等専門学校の「SP2LC」が同率2位となった。

 今回のImagine Cupには、100を超える国と地域から、約34万人が参加。中でもインドや米国、中国、ブラジル、フランスからの参加が多いという。日本では、2010年7月にポーランドで開催された前回大会の直後から、マイクロソフトが積極的な支援を開始。専門学校の校長らとワーキンググループを作るなどして、日本からの発進力強化に努めたという。その結果、半年間で昨年1年間の4倍の参加者が集まったという。

 審査員で、かつては自身もImagine Cupへの参加経験がある東京大学の中山浩太郎氏(知の構造化センター特任助教授)は、ソフトウェアデザイン部門の総評として「私の参加した頃と比にならない。プレゼンテーションや技術、チームワークも完成度が高く感動した。Imagine Cupは年々競争の激しさが増している。その中で順位をつけることに悩んだ」とコメント。2位、3位のチームに対してはそれぞれ接戦であったと評価した上で、優勝チームに対しては「厳しいことを言うが、世界大会はレベルが高い。気を引き締め直して世界大会に臨んでほしい」と語った。

 また組み込み開発部門に対しては、審査員でNHK解説委員の中谷日出氏が、「ソフトウェアデザイン部門に比べて取り組む人が少ない部門だが、その少なさを感じさせない高い水準の開発だった」とコメント。接戦となったものの、東日本大震災といった日本の状況を踏まえて「SunDonationが少しだけ心を動かしたのかと思う。募金の新しい形からライフスタイルの提案まで昇華できるのでは」と評した。

SunDonation 「SunDonation」

Ray Ozzie氏が学生にエール

 イベントには、来日していた元Microsoftチーフソフトウェアアーキテクト(CSA)のRay Ozzie氏も特別参加。自身がメインフレームやミニコンピュータ、PC、ウェブ、モバイル、クラウドとさまざまな技術と関わってきたことを語った上で「これらの技術革新の中で成功した人たちの共通項は『よりよい世界に変えていこう』というところ。これはImagine Cupのテーマに通じる」とコメント。

 さらに、「ソフトウェアは柔軟。想像できるものは作ることができる。皆さんのイノベーションが将来世界を変えるかもしれないし、日本を復興することにつながると信じている。優勝チームでなくてもこの場に至るまでの功績に誇りを持って欲しい」と参加者にメッセージを寄せた。

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