新進の起業家が成功のために大事にすることとは--トーマツがイベント開催

岩本有平 (編集部)2011年04月15日 18時07分
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 トーマツ ベンチャーサポートが開催した起業家向けイベント「トーマツベンチャーサミット」。そのパネルディスカッションでは、エスクリ 代表取締役社長の岩本博氏、paperboy&co. 創業者の家入一真氏、ビジョン 代表取締役社長の佐野健一氏、ジンガジャパン ジェネラルマネージャーの山田進太郎氏が登壇。それぞれの立場から、起業についての思いや苦労を語った。

 ファシリテーターをつとめる有限責任監査法人トーマツの茂見憲治郎氏はまず、4人の起業家に対して、これまでで最も印象に残っている苦労話について尋ねた。

 ブライダルビジネスを展開し、2010年に東京マザーズに上場したエスクリ。同社の岩本氏は「人のオペレーション」に苦労したと語る。

エスクリ 代表取締役社長の岩本博氏 エスクリ 代表取締役社長の岩本博氏

 知名度が低く資本も少ない創業期ベンチャーは、新卒採用が難しい。かといってレベルの高い社員を他社から引き抜いたり、高額で採用するということも困難だ。そのため、「0時まで働いて、そのあと飲んでを繰り返し、自分の考えを共有できる体制を作っていった」(岩本氏)という。

 通信関連商品の販売代理店であるビジョン。同社の佐野氏は、創業時に社内は外国人ばかりだったことを紹介。岩本氏と状況は異なるが、「企業文化の共有」という点で苦労したと説明する。

 一方で大きな苦労がなかったと語るのは家入氏だ。paperboy&co.が手がけるレンタルサーバサービスは、毎月入金が積み重なっていく「ストック型」のビジネスモデル。そのため、最初の月から利益も出て困ったことはなかったという。

paperboy&co. 創業者の家入一真氏 paperboy&co. 創業者の家入一真氏

 そんな家入氏が強いて挙げるならと語ったのは「ロードショー」。ロードショーとは、上場承認後、株式公開前に機関投資家に行う会社説明会のこと。paperboy&co.の上場が決まる直前にグリーの上場が決まっていたため、「ことあるごとにグリーと比較された。あれは勘弁して欲しかった。また投資家向けの資料を手書きにしたら『小学生じゃないんだから』と怒られた」と、ユーモアを交えて語った。

ジンガジャパン ジェネラルマネージャーの山田進太郎氏 ジンガジャパン ジェネラルマネージャーの山田進太郎氏

 ジンガジャパンの山田氏は、もともとウェブサービスを開発するウノウの創業者。画像共有サービス「フォト蔵」などを提供していたが「サービスを作って広告で稼いでいたが、『ヒット』は出せるのに『ホームラン』を出せないことにもんもんとしていた時期があった」と語る。

 「世界中の人に使ってもらえるサービスを作る」というミッションを持っていたウノウだが、これを実現するためには「かなり戦略的にやらなければいけないと思った」(山田氏)という。そして、まずあるサービスに投資して、そのサービスが成功しなければやめるというスクラップビルドを繰り返す中で成功したのがソーシャルゲーム「まちつく」だった。「GoogleやFacebookはプラットフォームを作るのが得意。一方日本人はコンテンツを作るほうが得意。特にモバイル。ゲームというコンテンツで、モバイル、これで作ったのがまちつくだった」(山田氏)

 ウノウはその後世界最大のソーシャルゲーム開発会社であるZyngaに買収されるという選択をすることになるが、ここで考えたのは「(世界で使われるサービスを作るという)会社の目標を達成するのか、それとも独立しているのか、どちらが重要か」ということだったという。「最終的には目標を達成するためにZyngaに入って、世界にパブリッシュするというところで決断した」(山田氏)

 では一方で、4人の起業家が大事にしているのは一体どういったことだろうか。岩本氏は何よりも「差別化」が重要と答える。岩本氏によると、ウエディング業界には古いしきたりが残っているため、これを打破したいという思いが自社の差別化につながっているという。

 エスクリでは2010年、東京駅徒歩5分のオフィスビル内に結婚式場を開設した。遠方から親戚を呼びたいという人にとって、新幹線の駅や空港から近いというのは潜在的なニーズがあると見込んだからだ。

 当初社内の大多数が反対したが、ふたを開けてみると「バカ当たりした」(岩本氏)という。「建物の外観ではなく、中身でどれだけいい式ができるか。先入観なくできる場所作りを実現した結果、業界全体の価値観が変わった」(岩本氏)

 「定時に会社に行けないのであれば自分でやるしかなかった」と起業の経緯を語る家入氏。もともと画家を目指していた同氏は起業家という立場に立ったとき「ちゃんとした経営はできないけど、実際にものを作って、そのスタンスを社員に見せてついてきてもらうということをした」(家入氏)のだという。「僕らができるのはクリエーターを支援していくこと。そのためには第一に僕らがクリエーターでないとけない」(家入氏)

ビジョン 代表取締役社長の佐野健一氏 ビジョン 代表取締役社長の佐野健一氏

 佐野氏は「自分たちのやりたいこと、やるべきこと、やれること」をそれぞれ考えることを大事にしていると語る。ただ利益のためにやりたいことを考えるのではなく、自分たちがどんなビジネスをやれるのか、また業界をのばすためにどういうことをやるべきか考えていくことこそ重要だというのだ。

 山田氏は、自身が語ったヒットとホームランの話にかけて「あきらめないで打席に何回立つのかが重要」だとした。いくつものサービスを立ち上げた末にリリースしたまちつく。山田氏はこのサービスについて「(成功の理由は)運というところもあるが、チャレンジしないことにはそもそも成功しなかった」と語った。

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