Amazonは米国時間3月28日夜、デジタル音楽ロッカーサービスの提供を発表した。同サービスを利用することでユーザーは、所有する楽曲をウェブ上に保存できるようになるとともに、コンピュータに搭載したウェブブラウザやAndroidデバイスから再生できるようになる。
「Amazon Cloud Drive」と名付けられたこのサービスは、デジタル音楽ファイルをAmazonのサーバにアップロードし、PC、Mac、Androidデバイスで再生することを可能にする。
ファイルは、AACまたはMP3形式でアップロード可能だが、ビットレートはオリジナルのものと同じになる。利用開始時には5Gバイトのストレージが自動的に与えられるが、Amazon MP3でアルバムを1枚購入すると20Gバイトまでアップグレードされる。追加のストレージ容量は、20Gバイトあたり年額20ドルから購入できるプランが用意される。
「Cloud Player for Web」は、「Internet Explorer」「Firefox」、Mac版「Safari」、そして「Chrome」を稼働するコンピュータでの楽曲再生を可能にする。「Cloud Player of Android」は、Amazon MP3アプリケーションの新バージョンで、完全版のAmazon MP3 Storeとモバイル版のCloud Playerを含む。このアプリケーションを使うことで、Cloud Driveに保存している楽曲や、ローカルにデバイスで保存している楽曲の再生が可能となる。
Cloud Driveには楽曲、写真、ビデオ、書類もアップロードできる。ただし、これらデジタルファイルは、コンピュータのウェブブラウザからのみアクセスできる。
Amazon.comで映画および音楽担当バイスプレジデントBill Carr氏は、「このような躍進をデジタル体験において遂げることができ、非常にうれしく思う」と声明で述べた。「Cloud Drive、Cloud Player for Web、Cloud Player for Androidの発表は、定期的なソフトウェアのアップデート、そして、楽曲の移動や管理に使われるサムドライブやケーブルの利用を不要にする」(Carr氏)
米CNETは先日、Amazonが映画および音楽ライブラリ向けデジタルロッカーサービスの開発に取り組んでいると報じた。しかし、今回の発表には映画用ストレージが含まれておらず、その理由は明らかではない。消息筋は、米CNETのGreg Sandoval記者に対し、Amazonは、すべての必要なライセンスを先週の段階で得ていなかったが、すべての交渉が完了する前にサービスを発表する可能性があると述べていた。
今回の発表は、競合するサービスに取り組んでいるといわれているAppleやGoogleに対するリードをAmazonに与えることになる。
Appleは、同社「MobileMe」サービスを拡張し、音楽ストレージおよびストリーミングサービスに変えることに目を向けているという。Appleは、秋のリリースを目標に、同社モバイルOSをクラウドベースのサービスや他の機能拡張によりフォーカスした形で改良しているといわれている。
一方、Googleも、ウェブ接続されたデバイス向けに同社「Google Music」ストリーミングサービスの社内テストを開始している。このことは、期待されている同サービスの発表の準備がおおよそ整ったことを示唆している。稼働する状態の同サービスが「Honeycomb」版Android OSをインストールした端末で確認できたとも伝えられている。
Amazonは、クラウドサービスに関する経験は豊富だ。Amazonは、電子書籍を人気の同社電子書籍リーダ「Kindle」の所有者向けに自社サーバで保存している。Kindleユーザーは、電子書籍をAmazon.comから購入し、ウェブにアクセス可能なデバイスにダウンロードできる。そして、Amazonは、そのデジタルコピーを顧客のデジタルロッカーに保存する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。
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