経済産業省は3月28日、2009年度の「情報セキュリティ市場調査報告書」(PDF)を発表した。国内情報セキュリティ市場規模は、2009年度が2008年度後半からの深刻な需要低迷が年間を通じて顕著な回復に至らず推移したためにマイナス成長となり、実績見込み値は「情報セキュリティツール」が3588億円(前年比3.9%減)、「情報セキュリティサービス」が3260億円(同6.5%減)となり、合計6849億円(同5.1%減)と7000億円を割り込み、ほぼ2007年度並の規模に戻るものと見込んでいる。
2010年度では、ヒアリングした企業の多くが「これ以上悪くなる要素は見当たらない」としており、市場全体としては緩やかな回復に向かうものと見られるという。他の要素も加味した結果、ツールが3685億円(同2.7%増)、サービスが3339億円(同2.4%増)、合計で7024億円(同2.6%増)と、7000億円台を回復するものと予測している。
2010年度をカテゴリごとに見ると、情報セキュリティツール市場では暗号製品が18.0%増と最も高く、統合型アプライアンス(同3.5%増)、システムセキュリティ管理製品(同3.1%増)と続く。情報セキュリティサービス市場ではセキュリティ運用管理サービスが3.3%増と最も高く、情報セキュリティコンサルテーション(同2.9%増)、情報セキュリティ教育(同2.1%増)と続いた。
報告書では“情報セキュリティツール”を統合型アプライアンス、ネットワーク脅威対策製品、コンテンツセキュリティ対策製品、アイデンティティ・アクセス管理製品、システムセキュリティ管理製品、暗号製品の6カテゴリ、“情報セキュリティサービス”市場はセキュリティコンサルテーション、セキュアシステム構築サービス、セキュリティ運用・管理サービス、セキュリティ教育、情報セキュリティ保険の5カテゴリに分類して集計している。
報告書は、情報セキュリティ産業が官公庁、企業、教育機関、家庭などの安全に貢献している姿を統計的、金額的に明らかにし、産業動向を分析して各方面の参考とすることを目的に、日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)が2004年から実施している。
今回の調査は、国内で情報セキュリティに関する製品やサービスを提供する事業者に対して、2009年12月に実施したアンケート調査をベースに、官民の各種統計や分析資料、一部事業者へのヒアリング結果を加味して、JNSAのセキュリティ市場調査ワーキンググループによる検討、推計作業を経てまとめられている。
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