馴染みやすいドメイン名、自身の最後の企業をAppleに売却した創設者、「マイノリティレポート」ばりの未来志向に近い哲学、4100万ドルのベンチャー資金を組み合わせると、何が得られるだろうか。それによって得られるのは、今はなきLalaの創設者であるBill Nguyen氏が米国時間3月23日夕方に発表した「iPhone」および「Android」向け写真共有アプリケーション「Color」のようなものかもしれない。
Colorでは、同アプリケーションを介して撮影した写真が、近接度に応じて共有される。マシンラーニングに基づく近接度によって、ユーザーのコンタクトリストが作成される。要するに、ユーザーは自分の周囲の人々がColorで撮影した写真をすべて見ることができる。スターバックスで2つ離れたテーブルに座っている人が撮影したColorの写真を見ることができるが、その人がキャラメルマキアートを飲み終えて店を離れると、もう見ることはできない。しかし、オフィスの同僚など、長い時間近くで過ごす人の写真は、次第にユーザーのコンタクトリストに長時間残ることになる。これは「伸縮性のあるネットワーク」であるとNguyen氏は述べている。「最終的な目標は、人々があいさつを交わすことだ」(Nguyen氏)
Nguyen氏は、Lala売却後(Appleはその後Lalaを閉鎖した)Appleに短期間勤務していた間に、「iPad」やiPhoneに関するすべてに密接に関与した。そして、Appleに勤務したことが、「PC後の世界」、そして、現行のiPhoneやAndroid搭載端末において十分には活用されていない膨大な量の技術について考えるきっかけになったと同氏は述べる。同氏はColorについて、「GPSは、われわれにとっては古い技術である」と述べている。Colorは、音声や光をサンプリングして、近接度の評価を補完することができる。また、多数の端末が、コンサート会場におけるステージ上のバンドなど、中心にある単一の物体または景色の写真を撮影しているかどうかを検出することも可能だ。「こうもりのようなものである。奇妙な形の音波探知機のようだともいえる」とNguyen氏は米CNETに語った。
実際、ユーザーは、公開されたスクラップブックを行く先々に持ち運ぶことになる。これは、広く浸透し、かつ、示唆に富んだコンセプトであり、このコンセプトにより、このアプリケーションは製品としてだけでなく哲学としても見ることができる。それは、別のモバイル写真共有アプリ「Path」でいえるのと同じだ。Pathは、2010年に公開され、非常に厳しいプライバシー制御により親密感を増す仕組みとなっている。しかし、視覚的に印象的なインターフェースを搭載する一方で写真フィルタのような流行の機能を排除することを選んだColorは、その哲学が物理的位置の自覚とインタラクションをデジタルの世界にもたらす。同社の使命記述書とでも言える文書には、「小さい町とその価値を信じる」とある。「隣人を知ること、バーベキュー、そして、ローカルな生活は、仮想世界とオンラインの友人たちが作り出した隔離よりも価値がある。オープンで開かれたサービスを作ることは、より本来の交換と共有の考えが植え込まれたコミュニティーを育む」
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