logo

解説:富士通がミドルウェアのグローバル展開を加速するために用意したシナリオ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 富士通は現在、「グローバル事業の拡大」を重点課題のひとつに掲げている。社長の山本正己氏は、2009年度の実績で37%の海外売上高比率を、2011年度には40%以上にする目標を掲げている。

 だが、富士通のグローバル戦略の推進において、その遅れが指摘されているもののひとつに「ミドルウェアビジネス」がある。ソリューション提案に直結するミドルウェアは、それぞれの国のユーザー特性や、各国におけるソリューションベンダーとのパートナーシップ、販売網構築などが大きく影響する。その点で、富士通のミドルウェア製品は、日本ではひとまずの成功を収めているとしても、グローバル展開ではパートナーシップなどの整備に時間がかかっており、遅れが生じているのが実態だ。

 しかし富士通は、ここにきて、ミドルウェアのグローバル展開にいくつかの筋道をつけはじめているようだ。

 富士通はミドルウェアとして、ビジネスアプリケーション基盤の「Interstage」、データベースソフトウェアである「Symfoware」、統合管理ソフトウェアの「Systemwalker」、サーバ監視ソフトウェアの「ServerView」という4つのの製品体系を持つ。その中でも、先行して海外で成果をあげているのがInterstageだ。

 例えば「Interstage BPM」は、世界20カ国で展開し、金融、保険、政府、メディアなど200社以上の導入実績を持つ。また、XBRLソフトウェアである「Interstage XWand」は、全世界27カ国300社以上で導入され、米国証券取引委員会(SEC)や各国の中央銀行、政府機関での採用が目立つ。

 特に、Interstage XWandは、SECでの採用ともに、標準化団体である「XBRL International」のサイトを通じて無償試用版がダウンロードできるようになっている。つまり、XBRLの「標準ツール」的な位置づけを獲得しており、北米だけではなく、今後は財務指標の強化が見込まれる欧州においても広がりが期待されている。実際、試用版については、世界60カ国での利用実績があるという。

 しかし、グローバル展開においては、こうした単品型のビジネスでは限界がある。特に外資系ベンダーが世界的に高いシェアを誇るデータベースソフトウェア領域において、Symfowareが苦戦を強いられていたの周知のとおりだ。

ミドルウェア推進のカギも「クラウド」

 そうしたなか、富士通がミドルウェアのグローバル展開において、戦略的な役割を果たすと期待しているのが「クラウドコンピューティング」だ。

 従来のミドルウェアビジネスは、運用管理、実行管理、データベースというようにそれぞれの製品が分離した形で商談が発生していた。ところが、クラウドコンピューティングの世界では、窓口がひとつになり、その裏で、運用管理、実行管理、データベースが統合化されて動くことになる。データの出入り口さえ標準化されていればいいので、言い方を変えれば、かつてのメインフレームやEA(エンタープライズアーキテクチャ)と呼ばれた環境と同じように、ひとつのベンダーのプロダクトや技術の「固まり」の中から、どのベンダーの固まりを選択していくかという動きへと変化する。

 実際、クラウドコンピューティングは、SOAを取り込んだアプリケーション実行基盤、情報統合に柔軟性を持ったデータベース、ITILを基盤とした運用監視といったように、ミドルウェア技術の融合によって環境が構築される。

 富士通は、群馬県館林のデータセンターにおいて、同社のハードウェアとミドルウェア、アプリケーションを組み合わせたクラウドサービス環境を用意。今後、この仕組みをベースにオーストラリア、シンガポール、米国、英国へと展開し、世界5極体制でクラウドビジネスを展開する姿勢をみせている。一方で、富士通サービスが所有するオランダのデータセンターでは、「Systemwalker Centric Manager」および「Systemwalker Service Quality Coordinator」を導入し、23ユーザーに対するサービスで、926台のサーバ運用を効率化したという実績も出ている。

 まさに、富士通のクラウドビジネスの広がりは、富士通のミドルウェアビジネスの成長へとつながるのだ。

 2010年10月から商用サービスを開始した同社パブリッククラウドシステムサービスは、富士通のデータセンターから提供される「Trasted-Service Platform」を活用することで、仮想マシン単体からロードバランサ、ファイアウォールで分離された複数サブネットまでを、顧客専用の仮想システム環境として割り当てることが可能だ。さらに、ソフトウェアのインストールや、アプリケーションの構築も自由に行える。ここで提供されるアプリケーションの実行環境には、Interstage、Symfoware、Systemwalkerなどが活用されており、ユーザーはデータセンター環境を意識することなく、これらをダウンロードして利用できるようになる。

 Trasted-Service Platformは、世界共通のプラットフォームであり、この上に各国特有のニーズに応じたサービス体系やオプションを用意することになるが、そこでもミドルウェアが果たす役割は大きい。

 また、Microsoftとの提携により提供する「Windows Azure」に関しても、ハイブリッドクラウドにおける統合監視やジョブスケジューリングの提供、既存のJava EEアプリケーションやCOBOLアプリケーションのAzure上での実行、Azure上のアプリケーションからのPDF帳票の生成、出力などができる各種ミドルウェアを提供していくことになる。つまり、Azure上に富士通のミドルウェアを提供することでも、同社ミドルウェアビジネスのグローバル展開を加速できるというわけだ。

 富士通のクラウドビジネスがグローバル化することは、同社ミドルウェア製品のグローバル化にも直結することになる。

◇富士通のミドルウェア製品に関連する記事
NRI、富士通製XBRLミドルウェアを財務情報自動変換、集約システムに採用
富士通、非定型業務のプロセス管理やクラウド連携に対応したBPMソフトウェアの新製品
富士通、ITILベースのアプリケーション変更管理を自動化する運用管理ツール

-PR-企画特集