シトリックス・システムズ・ジャパン(シトリックス)は2月25日、2011年の戦略発表会を開催した。
イベントに登壇したシトリックス代表取締役社長のMichael King氏はまず、同社の2010年動向を振り返った。米Citrix Systemsは2010年でNASDAQ上場15周年を迎えた。同社の売上高は18億7000万ドル(前年比16%増)で純利益は2億7700万ドル(同45%増)と過去最高。デスクトップ仮想化製品「Citrix XenDesktop(XenDesktop)」が好調で、アナリストコミュニティからも高い評価を得たとKing氏は説明する。
またアプライアンス製品「NetScaler」については、Amazon web servicesをはじめ、rackspace、terremarkなどのサービスで導入された。この結果、前年比50%増の売上を達成したという。
日本においては、マイクロソフト(現:日本マイクロソフト)とVDI普及のための営業やマーケティングで協業したほか、シスコシステムズや富士通とも協業関係を強化したと説明。また、ニッセイ情報テクノロジーには1万人規模のシステムを導入。その結果、国内顧客は前年比28%増の2万3000社となり、XenDesktopの国内売上は前年比511%増という大幅な成長を達成した。
King氏は2011年について、「人々とIT、ビジネスとITが本当の意味で協業していく年になる」と語る。ビジネスにはさらなる迅速性や安全性、成長スピードが求められるようになり、ユーザーはいつでも、どこからでも、どのデバイスでもデータにアクセスすることを求めていく。そこで重要になるであろうキーワードは「端末」「場所」「クラウド」だという。
まず「端末」については、同社がこれまで掲げていたコンセプト「BYOC(Bring Your Own Computer:自分のPCを持ち歩きさまざまな環境で仕事をする)」が、「BYO-3(1つのPCではなく、3つ程度の端末を使いさまざまな環境で仕事をする)に変化すると語る。この課題に対してシトリックスでは、仮想デスクトップにアクセスできるアプリケーション「Citrix Receiver」をあらゆる端末に対応させていくという。Citrix ReceiverのiPad向けアプリケーションは、すでに100万ダウンロードの実績があるという。
次の「場所」については、「どこにいても仕事ができる環境が求められる」と説明。さまざまな環境で仕事をする際にも、高いユーザーエクスペリエンスを体験できる技術「Citrix HDX」を提供することで、動画再生やUSB接続などを快適に利用できるようにするとした。
最後の「クラウド」については、ビジネスチャンスととらえたクラウドベンダーがユーザーを囲い込む一方、ユーザーがベンダーにとらわれずにクラウドのメリットを享受できるよう求めると説明。これに対してシトリックスではクラウド向けプラットフォーム「Citrix OpenCloud」を提供。オンプレミスのほか、パブリッククラウドやプライベートクラウドを連携して利用できる環境を構築するという。
そしてこれらを実現する具体的な施策について、King氏は(1)ハイタッチ営業やコンサルティングによってベストプラクティスを提供し、顧客企業の変革を支援(2)新たなライセンス形態の提供やデモツールの提供、教育・認定プログラム提供など、パートナープログラムの強化(3)人、パートナー、アライアンスに向けたさらなる投資--の3点を挙げた。「(デスクトップ仮想化の)元年は終わり、2011年は飛躍の年である」(King氏)
なおシトリックスでは同日、Citrix XenAppやXenDesktopの旧製品を利用するユーザー向けに、通常より安価で最新版製品を導入できる「XenDesktop trade-up」プログラムを発表している。また事例として、NTTドコモの展開するモバイルワーカー向けクラウドサービス「モバイルセキュアデスクトップ」のデスクトップ仮想化ソリューションとしてXenDesktopが採用されたことも発表した。
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