国内ITサービス市場、2011年はプラス成長回復の見込み--IDC予測

富永恭子(ロビンソン)2011年02月21日 16時18分

 IDC Japanは2月21日、国内ITサービス市場の予測を発表した。同社によれば、同市場は2011年以降プラス成長を回復し、2015年の国内ITサービス市場規模は5兆5521億円、2010~2015年の年間平均成長率は2.3%になるという。

 IDCでは、国内経済は最悪期を脱し、企業の業績も上向いてきたものの、一方で「踊り場入り」「二番底懸念」も伝えられており、企業のITサービス支出に対する慎重姿勢は変わっていないとしている。また、経済状況だけでなく、不況期に進んだサービスの低価格化やクラウドに代表される代替サービスの拡大は、国内ITサービス市場の構造的な変化を促し、企業IT部門はより少ない支出でこれまで以上の効果を求めているという。これらの要因から、2010年の国内ITサービス市場は、前年比1.4%減の4兆9500億円となり、2009年に引き続き2年連続のマイナス成長になったという。

 しかし、2011年になると、金融業界におけるシステム統合需要や、これまで凍結されてきた新規システム開発および既存システム更新需要などにけん引され、国内ITサービス市場は1.5%のプラス成長を回復、市場規模は5兆236億円となる見通しだという。

 さらに、2011年の成長率は1%台にとどまるものの、2012年以降は2%台を回復すると予測している。ただし構造変化の影響は大きく、2008年以前の3%を超すような成長は2015年までは見込めないとする。その背景としては、これまで国内ITサービス市場の成長をけん引してきたITアウトソーシングにも、成長の鈍化が見られること、大企業を中心にシステム開発予算を国内向けから海外向けにシフトする動きも見られることを挙げている。

 低成長が予測される国内ITサービス市場についてIDCは、ベンダーが差別化戦略を採る必要性はこれまでになく高まっているが、サービスにおけるコモディティ化の影響は大きく、個々のサービスでの差別化は徐々に困難になってきていると分析している。

 IDC Japan、ITサービスグループマネージャーの寄藤幸治氏は「ベンダー各社は、個々のサービスの内容そのもので競争するだけではなく、サービス提供のプロセス全体に目を配り、差別化する必要がある。たとえばユーザー企業と協業の上でのサービス企画や、契約方法の従量課金型および成功報酬型への移行など、ベンダーの総力を挙げた新たなサービス提供の仕組み、『サービスイノベーション』を起こすことを考えるべきだ」とコメントしている。

2009~2015年、国内ITサービス市場投資額予測 2009~2015年、国内ITサービス市場投資額予測(出典:IDC Japan)

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