ブックレビュー100回記念--ビジネス書100冊の中から選んだ最上の3冊

 2009年2月25日に第1回目のブックレビューを書かせていただいてから、約2年。早いもので、このたび100冊目に到達した。本は著者はもちろん編集者をはじめとする、多くの人の血と汗と努力の結晶だ。そのような本の中から週に1冊だけを選ぶのはなかなか難しい。しかし今回は、100冊突破を記念して、今までご紹介した100冊の中から3冊だけを選び出し、再びご紹介したいと思う。

読むべき時がわかる1冊--「仕事のポーション ビジネスパーソンのための疲労回復術」(ヴィレッジブックス)

「仕事のポーション」 「仕事のポーション」

 「健康な体と健康な精神がなければ、そもそも仕事ができないのだ」ということに、気づかせてくれる本。人によって体質が違うため、睡眠時間が4時間でも疲れない人もいれば、8時間寝ないとすぐに疲れてしまう人もいる。そんな感覚的な基礎体力のようなものを「エネルギー」という言葉で表し、「体」「行動」「環境」の3つの視点からそれぞれのエネルギーの高め方を教えてくれる。

 どんなことが原因でエネルギーは落ちるのか、どうすればエネルギーを高められるのかを、雨と太陽のアイコンで分かりやすく示しているほか、目次にページが多く割かれて見やすいため、今の自分に必要だと思われるページをサッと見つけられる。漠然とした不安や、なんとなく感じる体力の消耗など、弱っている自分の状態にふと気づいたら本書に手を伸ばす。そんな本だ。

本質を描き出した1冊--「プレゼンテーションZen」(ピアソン・エデュケーション)

「プレゼンテーションZen」 「プレゼンテーションZen」

 デザインとは無縁だったビジネスパーソンでも、プレゼンテーションで使用するスライド作成においてはセンスが必要になる。慣れないうちは、あれもこれもと詰め込み、たくさんのフォントや色を使えばいいと思いがちだ。すると、ごちゃごちゃした分かりにくいスライドができあがってしまう。そんな悩みを抱えたビジネスパーソンの救世主ともいえるのが本書だ。

 PowerPointやKeynoteといったソフトウェアの「機能の使い方」を解説した本ではなく、プレゼンテーションとは何か、どのようなスライドを作成すれば、相手の興味を引き、その先のビジネスにつながるのかといった、ビジネスパーソンが本当に知りたかったことがここには書かれている。

iPhone本の定義を変えた1冊--「iPhone情報整理術」(技術評論社)

「iPhone情報整理術」 「iPhone情報整理術」

 本書で紹介されているアプリやその機能についての情報は、もちろん2011年の今では古い情報になってしまう。しかし、本書の出版前と後では、iPhoneに関して出版される本の内容が、がらりと変わってしまった。それまではiPhoneやアプリの機能そのものに焦点をあてた本が主流だったが、これ以降「整理術」を軸とした活用方法を提案する本が主流となっていったのだ。その点でこの1冊は外せない。

 スマートフォンの選択肢が増え、クラウドのサービスがより充実している現在なら、本書で述べられている「クラウドオフィスの作成」や「ウェブを持ち歩く」といった提案が、より簡単に実行しやすくなっている。記録の取り方やタスクの進め方といった、アプリに依存しない考え方はツールが変わっても応用可能だ。

 結果的に、3冊すべてが2009年に発売された書籍となった。2009年に比べれば、2011年の現在では、より便利なサービスや製品が出ているが、この3冊の内容は今読んでも、古さを感じさせない。それはテクニックの部分を取り除いても、本の根底にある著者の考え方は一本筋が通っており、揺るぎない信念のようなものを感じさせるからだろう。今後も何年経っても色あせない、そんな骨太の本を紹介していきたい。

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