2015年のターゲット市場を2010年の2倍となる2200億ドル規模に拡大させる――。SAPジャパンは2月15日、2011年の戦略に関する発表会を開催。同社の代表取締役社長のGarrett Ilg氏は、SAPジャパンを含むSAP全体の成長戦略を明らかにした。
2010年時点でのSAPのビジネスは、統合基幹業務システム(ERP)パッケージソフトの「SAP ERP」とビジネスアプリケーションのスイート製品「SAP Business Suite」を中核に、ミドルウェアとビジネスインテリジェンス(BI)ツールを加えた3つが柱となっていた。2015年には、既存の3つに加えて、オンデマンド(クラウド)とモビリティ(モバイル)、インメモリコンピューティングを加えて売り上げを伸ばす考えだ。
SAPの2010年のソフトウェアの売上高は、第4四半期で前年同期比35%増、通年でも25%増と2ケタ成長を記録した。その裏側では「(ERPを中心にした)コアビジネスが成長したことや新技術をリードしたことにある」という。またSAP独自のアプローチとして「ユーザー企業への幅広い選択肢、(パートナー企業との)エコシステムを通じた共同イノベーションがある」ことも要因の一つと説明している。
SAPジャパンの2010年については、ソフトウェアと関連サービスの売上高が前年比12%増、力を入れていた中堅中小企業向けが37%増という。ビジネスアナリティクス関連の売上高は全体の4割を占めるようになっていることも明らかにしている。2010年のハイライトとしては、インメモリのビジネス分析アプライアンス「SAP High-performance ANalytic Appliance(HANA)」の国内出荷、サステナビリティソリューションの展開、クラウド関連としては温室効果ガス排出管理SaaSの「SAP Carbon Impact」やリアルタイムコラボレーションツールの「SAP StreamWork」を挙げている。また大きな動きとしてSybaseの買収も挙げた。
Ilg氏は2011年の注力ポイントとして(1)コアビジネスの推進、(2)エコシステムの拡大、(3)新規市場への参入――の3つを挙げている。(1)のコアビジネスの推進では、Business Suiteを拡張することを狙う。この分野では、業務や業界に特化したシナリオを含むベストプラクティスを拡張させるとともに、Business Suiteの機能を拡張するためのパッケージである「SAP enhancement package(EhP)」を継続的に拡張することも進める。また、「ビジネスアナリティクスのリーダーとして」(Ilg氏)、BI基盤の新版となる「SAP BusinessObjects 4.0」の国内提供を開始することを明らかにしている。
(2)のエコシステムの拡大では、チャネルビジネスの25%増加を狙う。そのために、パートナー企業支援制度を整備するとともに、パートナーシップを強化することを挙げている。パートナー企業とはSAPジャパンの直販営業部門やチャネル営業部門との共同ビジネスを計画しているという。またチャネルを対象にしたインサイドテレセールスチームを立ち上げるとともに、チャネル向けのマーケティング活動も展開することを挙げている。
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