(3)の新規市場への参入は、HANAに代表されるインメモリコンピューティングの本格展開を掲げている。インメモリコンピューティングについてIlg氏は「SAP史上最大のイノベーション」であり、「業界に画期的な変革をもたらす」と表現している。HANAの日本国内での提供は2010年12月から始まったばかりだが、「世界で50社以上が導入」(Ilg氏)と説明。日本の最初のユーザーは野村総合研究所(NRI)という。インメモリ技術は、HANAのほかに全製品で活用していくことも明らかにしている。
新規市場への参入としては、買収したSybaseの技術をベースにしたモビリティソリューションも挙げている。SAPジャパンではすでにモバイルアプリケーションプラットフォームとして「Sybase Unwired Platform」を提供しているが、2011年には、「さまざまなモバイル端末向けに単一のエンタープライズモビリティプラットフォームを提供する」(Ilg氏)と説明。モバイルコミュニティ向けにソフトウェア開発キット(SDK)を提供することも予定している。また2011年内に「新しいモバイルアプリケーションを発表する」(Ilg氏)としている。
現在BIの分野、そしてBIの解析対象となるデータが詰め込まれるデータウェアハウス(DWH)の分野では、“Big Data(ビッグデータ)”をどのように活用すべきかが注目されている。このビッグデータに関連して、SAPジャパンの上野豊氏(バイスプレジデント ソリューション営業統括本部本部長)は、HANAは「数千億件を数秒で処理できる。ビッグデータに対応する」ものであることを強調している。
上野氏は、HANAを活用するメリットとして「既存のDWHにあるデータをすべて取り込むことができ、今までのBIツールを使える」と説明。また「インメモリだと電源を落としてしまったら、メモリからデータが消えるのではないかという不安の声を聞くが、データはリアルタイムでハードディスクにレプリケーションされる」と、インメモリ技術の不安をはねつけている。
上野氏は、ハードウェアのコストで見るとHANAは「1億円していたものが数百万円で導入できる」とコスト面でもメリットがあることを説明、その上で「性能は20倍ものスピードになる」と、HANAがコストパフォーマンスに優れたアプライアンスであることを強調している。そうしたHANAのメリットを説明する上野氏は「SAPジャパンはHANAでエンタープライズデータウェアハウス(EDW)に参入する」と表現している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス