クーポン共同購入サービス「Groupon」の世界展開やドイツのファッションECサイト「Zalando」を手がけるドイツのインキュベーターRocket Internet。同社が出資するジェイドは、靴のECサイト「ロコンド.jp」のサービスを本格化させる(記者発表の内容)。
「ZOZOTOWN」運営のスタートトゥディや「夢展望」運営の夢展望など、国内でもファッションECの成功者は登場してきた。しかし靴は洋服以上に細かなサイズ指定が必要な商品であり、実物を履いてみないと購入できないというユーザーも少なくない。ロコンド.jpではこれを“99日間の返品、交換無料”そして“コンシェルジュによるサポート”といったサービスで解決していくという。
海外を見てみれば、独自の企業理念に基づく徹底した顧客サービスで人気を集め、Amazon.comが8億ドル超で買収するに至った米Zapposなどが靴のECサイトとして有名だ。Rocket Internetによる垂直立ち上げモデルのロコンド.jpは日本版Zapposと成り得るのか? ジェイド代表取締役の秋里英寿氏と保田朋哉氏に聞いた。
秋里氏:Rocket Internetは日本ではまだ知名度がないものの、Grouponの最大投資家であり、欧州版「eBay」や婚活サイト「eHarmony」など、インターネット関連の事業を成功させてきました。
前回Grouponの案件で日本のクーポッド(現グルーポン・ジャパン)を買収した際、日本の市場にもっと挑戦したいという思いがありました。そこで欧州で成功したZalandoのモデルを日本でやる、ということになりました。
我々もこれまでのキャリアでRocket Internetとつながりがあり、起業経験などもあったことから参加することになり、2010年10月にジェイドを設立しました。そして2010年12月にロコンド.jpをプレローンチしました。
秋里氏:Zalandoの設立は3年半ほど前です。財務の詳細は公開していませんが、eBayなども含めて、欧州で5番目の規模のECサイトになっています。ドイツではテレビコマーシャルも放送しており、認知度は85%を超えているという状況です。もともと靴だけを扱っていましたが、最近では靴以外のファッションアイテムも取り扱っています。
秋里氏:カスタマーサービスは当然です。電話番号を公開しないECサイトもある中、電話対応もできるというのは特別でしょう。しかし一番の差別化要因は“ファッションECの近代化”です。調達や在庫、マーケティング管理など、これまで「なんとなく」だったなビジネスを、近代的なテクノロジーによってロジカルにしたことです。
保田氏:私はこれまで商社で小売業の立ち上げなどを手がけたこともありますが、ファッション業界は古く、マニュアルです。発注は手書きをファックスするということも多い。業界が古いということだけではなく、世の中には小さなブティックも数多く存在するため、そういったところにまでシステムを導入するよりかは、手書きのほうがよいということもあります。
秋里氏:「ネットで靴は売れない」ということは果たして本当かどうか、これに挑戦したい。我々なりに工夫していきます。ロコンドでは送料無料、返品無料で試し履きができます。
ECサイトという1つの店舗で500ブランド、数万足から色や形、サイズを選べます。実店舗ではサイズを選ぶと欲しい色がない、欲しい色を選ぶとサイズがない、ということで店舗を回ることがあるかも知れません。こう考えると、実は1店舗で解決するネットのほうがいいのではないでしょうか?
当初は20~40代のファッションに興味のある女性をターゲットとします。特に焦点を当てるのは地方の需要です。店舗も在庫も少ないので、潜在需要は大きいと考えています。我々は「打倒ECサイト」「打倒百貨店」といったことは考えていません。基本は靴の市場を拡大する、潜在需要を発掘する旅だと考えています。
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