先日、「Facebookはどのように始まったのか」の記事を執筆直後、ハリウッドで行われたゴールデングローブ賞の授与式で映画『ソーシャル・ネットワーク』が部門賞など4冠に輝いたというニュースが舞い込んできた。映画そのものの出来もさることながら、世界最大のSNSとなった「Facebookの誕生秘話」という題材が話題性を呼んだのは確かだろう。
映画の主人公として登場するのは、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「Facebook」創業者で現CEOのMark Zuckerberg氏。2010年にはTime誌の「Person of the Year」にも選ばれ、今や時の人となっている同氏だが、映画の中では、そのキャッチコピーからも分かる通り「天才、裏切り者、危ない奴、億万長者」と、どちらかと言えば“嫌な奴”といったイメージで描かれている。
映画の原作とされる「The Accidental Billionaires」(Ben Mezrich著)は、共同創業者の1人で、Zuckerberg氏を提訴したEduardo Saverin氏への取材を元に書かれたものだ。そのため、映画もSaverin氏寄りの視点で解釈されて描かれたのではないかと感じさせる。もちろん、こうした登場人物のキャラクター設定が作品を盛り上げ、面白くさせているのは確かだが、映画だけを観て“性悪男”のレッテルを貼ってしまうのはちょっとアンフェアな気がする。
2010年12月に、米CBS Interactiveの番組「60 MINUTES」の特集でFacebookが取り上げられた。その際にインタビュアーがZuckerberg氏に、映画「ソーシャル・ネットワーク」について訊ねている。Zuckerberg氏は、当初映画を観るつもりはなかったが、大きく心変わりをして、公開日にFacebookの従業員全員で観たのだそうだ。その時の様子を「(皆で観ると)楽しいと思ったんだ」と満面の笑顔で語っている。なんと、映画でZuckerberg氏を演じた俳優Jesse Eisenberg氏の従兄がFacebookで働いているそうだ。
しかし、「(いろいろな憶測もされていて)観るのは辛くなかった?」との問いには、「正しく描写されている箇所もあれば、そうではない箇所もあって、興味深かった。着ていたTシャツやサンダルは本当にそのままだったよ」と語った後、「しかし、ベーシックなところで全く違う取り上げられ方をしていた」と神妙な顔になり、「例えばFacebookを作った動機が、女子学生から注目を集め、彼女を作りたいからといった設定になっていたが、そこは違う。実際は、Facebookを立ち上げる以前に今の彼女と出会って付き合っていた」と説明している。すでに交際7年となる中国系米国人のその彼女と、新居に引っ越ししたといった記事も最近目にしたが、なかなか一途な性格ではないか。
このインタビューでは、「映画が公開され、それが真実か否かという事よりも、FacebookやMark Zuckerbergに対して、大勢の人たちが興味を持ってくれていることに驚かされている。映画を観た人たちから、数学やコンピュータサイエンスを勉強したくなったとか、会社を起こしたくなったという多くのメッセージをもらって、こうした影響はとても素晴らしいと思っている」と映画を通じて、自分やFacebookが人々を喚起させるものになっていることを喜び、また本気で驚いているようだった。
実際のMark Zuckerberg氏とは、どのような人物なのだろうか。以前、Facebook日本語版のローンチで来日した際の印象や裏話などを交えながら探ってみたい。
Mark Zuckerberg氏は、1984年生まれ、New York郊外に位置するDobuus Ferryという町で育った。Time誌「Person of the Year」の記事によれば、父親は歯科医で、母親は精神科医だったが、開業医の夫を手伝うためにその職を離れた。父親は、子どもの頃のZuckerberg氏を「意志の強い子だった」と描写している。前の記事で、Harvard大時代はコンピュータ専攻と書いたが、心理学も専攻していたらしい。Phillips Exeter Academy時代には、友人と「Synapse Media Player」という音楽再生のフリーソフトウェアを開発し、当時Microsoftなどが興味を示していたとのことだ(正式な取引は行われなかった)。
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