IT部門の価値を再認識してもらう--時間もお金もかけない、簡単な社内アピール法

文:Patrick Gray (Special to TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子2011年01月18日 08時00分

 ほとんどの最高情報責任者(CIO)は、自らの部門を社内にアピールするという行為にほとんど時間を割いていないはずだ。厚顔無恥とも言えるほどのアプローチを良しとする人などいないとはいえ、筆者が関わってきたIT部門のうち、成功を勝ち取った多くの部門は、「マーケティング」という言葉こそ使っていなかったものの、自部門の活動を社内に向けて積極的にアピールしていた。IT部門というものは、何らかのマーケティング活動を行わなければ、役員会に呼び出されでもしない限り、最近のつまずきや失敗を焼き直した噂話の中でしか登場しない地味な存在なのである。しかし、ちょっとしたマーケティング活動を行うことで、社内全体に対して、IT部門の価値を再認識してもらったり、最近の成果を伝えたり、自部門がテクノロジに関する創造的な牽引者であるという認識を浸透させることが可能になるはずだ。本記事では、まったく、あるいはほとんど予算を費やすことなく、かつできる限り時間をかけずに、IT部門を社内にアピールするための簡単な方法をいくつか紹介している。

自らの姿勢を変革する

 どのような組織においても、有能なリーダーというものは自らのビジョンを相手に伝え、共感させることができる。素晴らしいリーダーはすべからく有能なセールスパーソンだと言ってのけると乱暴に聞こえるかもしれないが、概ね的を射た表現なのである。有能なリーダーは、ポイントを適切にまとめ、相手に最もアピールするメリットを重点的に説明した後、多くの支持を集めたうえで「思い通りの結果」を得ることができるわけである。

 こういった「売り込む」という姿勢は、マネジメント層向けのプレゼンテーションから、「潜在顧客」に対する組織的かつ直接的な取り組みにいたるまで、すべてに欠かせないものとなっている。特にIT部門は、アイデアを売り込んでまわる立場にあるため、他部門とのやり取りを、自らの持つ最も優れたアイデアをアピールする機会と捉えることで、提案の組み立て方や、利点の提示方法に驚くほどの違いがもたらされるはずだ。エンタープライズソフトウェアといったものが、組織全体に影響を及ぼすように、自らの姿勢を変革することで、業務部門向けの提案において、予算第一主義から脱却できるようになるとともに、業務部門との対話において、自己中心的な技術的議論や、説得力のない不自然な「利点」を訴えかけるのではなく、聞き手の興味に焦点を合わせることができるようになるのである。

専門用語を避ける

 マーケティングを効果的なものにするには、理解しやすい言葉を使うことが不可欠である。同じ製品の説明書であっても、対象となるユーザーグループが違えば異なった言葉や図が使用されるとはいうものの、そういった内容はそれぞれのグループにとって理解しやすいものとなっているはずである。IT部門の人間は、仮想化されたクラウドサービスや、ITILフレームワークの話に多大な興味を抱きがちであるが、こういったテクノロジの恩恵を被る人々はたいていの場合、技術的なことにそれほど興味を持っておらず、IT部門が売り込もうとしているものによって自分たちの仕事がどれだけ改善されるのかを知りたがっているだけなのである。テクノロジがもたらす利点を切り出し、それを明確かつ効果的に伝えることができれば、テクノロジを最善のかたちで提示できたことになり、その受け入れや促進が容易になるはずだ。

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