加えて、モバイルの業界では、日本と同様にスマートフォンが一般大衆に広がりを見せている。すでに全米の携帯電話市場において2割以上はスマートフォンだという。スマートフォンの台頭により、これまで盛り上がりに欠けていた米国のモバイルアプリビジネスが、大きく変わりつつある。スマートフォンのモバイルサービスは、今やほぼ日本と同じスピードで展開されており、2011年にはさらに加速すると見られている。
ここには日本の大手ネット企業も参入を画策している。ディー・エヌ・エーによるngmocoの買収やグリーによるmig33への出資などの発表があったが、その布石と見ていいだろう。2011年も引き続き、日米をまたいだ企業の活動が続くことが見込まれており、その動きに注目している。
最後に、ネットメディアの影響力を感じさせる年でもあった。ネットメディアが広く浸透したことにより、世界でベンチャーの“コピー”とも言うべきビジネスがほぼ同時進行で始まるようになった。その代表的な例が、Googleからの60億ドル買収オファーを蹴ったGrouponだ。
このクーポン共同購入サービスは、シリコンバレーでは2009年末の増資でネットメディアが注目しはじめ、日本のネットメディアは2、3月ごろから紹介していた。そして5月以降から数社がほぼ同時にクーポン共同購入サービスを開始し、瞬く間に100社以上の企業が参入した。中国でもほぼ同じタイミングで大量の会社が同種のサービスを開始している。このように、複数の会社が世界同時にサービスを始められるのは、ネットメディアやソーシャルメディアを利用し情報の交換がより加速されたことによるものであると感じる。
いわゆる「タイムマシンモデル」が続くとしても、ネットメディアにより時差は急速に縮んでいる。他社に先んじて、新しいサービスを導入するに際してシリコンバレーの現地で情報ネットワークを持ち、他社よりも早く情報収集することの重要度がさらに増してくるであろう。
JAIC Americaは、シリコンバレーにてシード/アーリーステージのインターネット、クリーンテック領域にフォーカスした投資を進めるベンチャーキャピタル。特にインターネット業界では、地元エンジェル投資家と連携し創業まもないベンチャーに積極的に投資、すでに22社のポートフォリオがある。著者の北村は2000年にJETRO New YorkよりJAIC Americaに参画。現在、Investment Partner.
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