角川グループが電子書籍に参入--まずは12月にiPhone、iPad向けアプリを公開

岩本有平(編集部)2010年11月12日 19時52分

 角川グループが電子書籍ビジネスに参入する。11月12日に、クラウド型の電子書籍プラットフォーム「BOOK☆WALKER」を発表した。まずは12月中にiPhone/iPad向けにリーダーアプリを公開し、2011年7月のグランドオープンを目指す。

 BOOK☆WALKERには、角川書店をはじめ、アスキー・メディアワークスやエンターブレイン、富士見書房など角川グループの出版社10社がコンテンツを提供する。電子書籍に加えて、映像やグッズなどをクロスメディア展開していくという。

 さらに、ソーシャルゲームやソーシャルリーディングなどの機能を用意するほか、Twitterやニコニコ動画など、外部のソーシャルメディアとも連携を強化。ビューワは独自に提供するが、ニコニコ動画が2011年4月に提供を予定する「ニコニコビューワ(仮称)」などにもコンテンツを配信して、「ワンコンテンツマルチビューワ」を実現するという。

 今後は、角川グループ以外の出版社やコンテンツプロバイダーの参加も募るほか、書店や販売会社と連携したサービスも手がける、「ユニークでオンリーワン、オープンなプラットフォームを作る」(角川コンテンツゲート常務取締役の安本洋一氏)

 12月に提供を予定するiPhone/iPadアプリ向けには、文芸、新書、ライトノベル、コミックなど初月100作品の提供を予定する。その後、毎週約20作品を追加していく。大沢在昌氏の最新作「カルテット」などは書籍に先駆けて配信するという。また電子書籍オリジナルの文芸誌、コミック誌も創刊する。2011年4月以降は、PCやAndroid端末にも対応する予定。2011年7月のグランドオープン時には、雑誌や実用書、写真集などジャンルを拡大し、約1000作品を提供するという。

 また、人気ライトノベルのキャラクター「涼宮ハルヒ」を使った販促用iPadアプリ「涼宮ハルヒのBOOK☆WALKERナビ」を角川書店とモーションポートレートが提供する予定だ。

  • 文芸誌のラインアップの一部。大沢在昌氏の小説は電子書籍を先行発売する

  • こちらは新書のラインアップ

  • ライトノベルでは「涼宮ハルヒの憂鬱」や「生徒会の一存」などの人気シリーズが提供される

  • こちらはコミック。「ケロロ軍曹」「新世紀エヴァンゲリオン」などが並ぶ

  • iPadアプリ「涼宮ハルヒのBOOK☆WALKERナビ」

 会見にはカルテットを執筆した大沢在昌氏も登場。カルテットが電子書籍と書籍に加えて、映像化の予定があることを紹介した上で「電子書籍と紙は決して利益を食いあうものではない。1人でも多くの人にコンテンツを楽しんでもらうため、盛り上げていくために相互に展開しなければならない。まだまだ時間が掛かるし、海のものとも山のものともつかないが、前向きに取り組まないと意味はない」とコメントした。

左から角川コンテンツゲート代表取締役社長の浜村弘一氏、角川グループホールディングス代表取締役社長の佐藤辰男氏、作家の大沢在昌氏、角川グループホールディングス、取締役会長の角川歴彦氏、角川コンテンツゲート常務取締役の安本洋一氏 左から角川コンテンツゲート代表取締役社長の浜村弘一氏、角川グループホールディングス代表取締役社長の佐藤辰男氏、作家の大沢在昌氏、角川グループホールディングス、取締役会長の角川歴彦氏、角川コンテンツゲート常務取締役の安本洋一氏

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