logo

「検索連動型広告の効果を上げる?」--数字を見つめる前に、ユーザー視点の重要性

アウンコンサルティング2010年11月10日 12時53分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「検索連動型広告の効率が悪くなっている」。こうした実感を持っている広告主や運用代理店の担当者は多いことだろう。そうした状況の中、各担当者は「効果、効率を上げたい」という答えを求めて日々頭を悩ませ、運用をしている。

 CPA(成果1件あたりの支払額)、CVR(成約率)、CV数(成約数)、CPC(クリック単価)などの数値をKPI(重要業績評価指標)として設定し、そのために何をしていくかを考え、実行する。実際の運用は大方このように進めていくことだろう。こうして日々の運用の中で数字を見つめ続けたために、“ユーザー視点”を見失っているケースは少なくない。今回は、運用の前に考えるべき、「ユーザーの行動、心理の重要性」について述べたい。

 唐突ではあるが、次の質問にあまり考え込まずにイメージで答えてもらいたい。

 「今日電車内でどんな内容の広告を見ましたか。何という商品の広告でしたか。5つ挙げてください」

 では次の質問。

 「今日あなたはインターネットで何かを調べましたか。調べた場合、それは何という企業のどんな情報や商品でしたか」

 最初の質問では、「なんか面白いキャッチの広告を見たけど…何の商品だったかな。週刊誌の広告は見た。でもあれってA社だったか、B社だったか…明確ではない。そもそも今日見た広告だったかな」といった答えが多いだろう。

 実はここでの質問は電車広告とインターネット広告の良さを比較したいのではない。また、「インターネットは1番だ」などと言いたいのでもなく、思い返すキッカケの質問である。

 浮かんだ答えからわかるように、情報の受け手側の状況によって次のようなことが考えられる。

  • 受動的よりも、能動的である方が記憶に残っている
  • 探すときには複数の情報源をチェック(比較)する
  • 能動的に探した時でも、すべてを明確に記憶しているわけではない

 言ってみれば、ユーザーは「自分勝手で、あいまい」なのであり、ユーザーの心理を理解するのは簡単なことではない。ユーザーの行動、心理を考えると、検索連動型広告の状況がみえてくる。

 従来は「検索連動型広告は費用対効果が良いものだ」というイメージが非常に強かった。もちろん、能動的に探し、動いているユーザーと接触しているから、商品やサービスに意識が向いていない人より購入につながる率が高かったからだ。能動的に探しているユーザーの「欲求=ワード」と「商品のベネフィット」を合致させることで購入につながる。

 しかしながら近年、検索連動型広告の効率が悪くなってきたと言われる背景として、次のようなことが考えられる。

 インターネットを情報発信の場や販売チャネルとする企業が増えSEOや検索連動型広告に注力した。その結果、検索後に目にする企業数や情報量は増え、ユーザーにとって比較が容易な状況になった。しかし、当然ながらユーザー側で処理できる情報量が大幅に増えることはない。そのため、無意識でユーザーは複数の情報を斜め読みし、自分に合った情報を取込むようになった。さらに、閲覧しながら「しっくりくる」複合ワードで再検索または「気になった別のワード」を検索するようになった。

 このように、いろいろインターネット上を動いているうちに最初に訪れたサイトの記憶は薄れ、多少極端かもしれないが、購入や資料請求といったアクションは先送り、といったようになっていると考えられる。

 検索連動型広告で語られる多くの数字はユーザーの行動、心理の表れである。数字に振り回される前に、ユーザー視点に立ち返り、振り返ってみてはいかがだろうか。まずは数字を使わずにストーリーを考え、そしてそのストーリーと数字を重ね合わせてみる。「木を見て森を見ず」の状況に陥っていないか、つまり一度俯瞰することで、何故その数字が出てきたか見えてくるのではないだろうか。

 検索連動型広告の改善は検索連動型広告の数字だけを見ても改善は難しい。自分勝手であいまいなユーザーの行動、心理をしっかり考えることで、ストーリーは増え、それに合わせた運用、改善方法が出てくる。自社にとってのベストな改善策は、自社の商品を使う、買おうとする、そんなユーザーを考え続けることで出てくるだろう。

 次回は、「ユーザー視点」はどう改善に活かされるのか。簡単な例を挙げて解説していく。

アウンコンサルティング

1998年6月設立。1999年、日本国内でいち早くSEOを事業化。検索エンジンマーケティング(SEM)の認知向上と市場の拡大に尽力し、上場企業を中心に多くの企業のマーケティング戦略を支援する。PCおよびモバイルのSEM支援で蓄積したナレッジを背景に、多言語でのSEMサービスへと展開。SEMを自社運用する企業向けのサービスも開始。日系企業の海外マーケティング支援も行うなど活動の幅を広げている。2005年11月東証マザーズ上場。絶えず変化する検索エンジンマーケティング動向を読み解き、SEOおよびSEMに関する動向を解説。著書「Search Engine Optimization 非常識なSEOの常識」

-PR-企画特集