ブロケード コミュニケーションズ システムズ(ブロケード)は9月28日、コアルータのハイエンドシリーズ「Brocade MLXe」を発表した。米国で9月15日に発表され、日本国内でも同日から販売が始まっている。
MLXeは既存のコアルータシリーズ「Brocade MLX」よりも性能を高めたハイエンド製品になる。今回のMLXeと既存製品のMLXなどに搭載できる100ギガビットイーサネット(GbE)モジュールもあわせて発表している。100GbEモジュールは2011年上半期の出荷を予定している。
ISPなどのサービスプロバイダーや大規模データセンター向けのコアルータとなるMLXeのシャーシバックプレーン容量は15.36Tbpsで、従来と比べて2倍の容量となっている。これは「他社製品と比べて約9倍もの容量」(SPテクニカルエンゲージメント本部本部長の村田眞人氏)という。IPv6の転送性能が毎秒48億パケットであり、これは「他社製品と比べて5倍の性能になる」としている。
あわせて発表された100GbEモジュールを搭載することでMLXeの機能は大きく拡張される。理論上の最大データ転送速度(ワイヤスピード)のポート密度は、ワイヤスピードが100GbEのポートが32個、ワイヤスピードが10GbEのポートが256個となっている。村田氏は「100GbEのポートが32個あるのは他社製品の4倍、10GbEのポートでは2倍」と、その性能の高さを強調している。
MLXeのサービスプロバイダー向けの優位点として村田氏は「シンプルな運用ができる」ことを挙げる。コアルータはもちろんエッジルータとしても活用でき、データセンターまでを包含する共通のルーティングプラットフォームを形成できるとしている。サービスプロバイダー向けとしては、大容量のインターネットバックボーンに活用できるとともに、インターネットエクスチェンジポイントなどにも活用できるという。
大規模データセンター向けの優位点としてもシンプルな運用ができることを挙げている。ポート密度の高さから、初期コストと運用コストを大幅に削減できると説明。また管理対象の要素が少ないことから、障害点を削減して、信頼性を向上できるとも説明している。大規模データセンターとしては、コアルータやアグリゲーションルータと活用できるとともに、仮想化されて統合されたサーバとのルータとしても有効だとも強調している。
村田氏は、MLXeを開発した背景として、この数年でネットワークを流れるトラフィックが急激に増加している状況があると説明する。スマートフォンなどの端末の普及が進んでいることや動画などリッチメディアの拡大、クラウドをベースにしたサービスの普及などから、トラフィックが急激に拡大している。村田氏によれば、2010年までに生成される個人データの総量は900エクサバイトに達し、2020年のデジタルデータの容量は35ゼッタバイトになるという予測があるという。
そうしたトラフィックデータの急激な拡大を受けて、サービスプロバイダーは「従来のネットワーク拡張では限界に達しつつある」(村田氏)という。ネットワークが複雑化するのに加えて、ネットワークへの要求も高くなっていると村田氏は強調する。
その一方でサービスプロバイダーの収益レベルは落ち込んでいるという。1Mbpsで得られる収入が1998年段階では1200ドルだったのに対して、2008年段階では12ドルにまで落ち込んでいる。ネットワークのコモディティ化が急激に進んでいるためだ。
また企業が所有するデータセンターでも、動画などのデジタルデータが急激に増加するとともに、アプリケーショントラフィックも増加している。この数年ではさらにサーバ仮想化が加速するとともに、複数あるデータセンターを統合する動きも進んでいる。このためデータセンターの中で稼働するルータやスイッチの利用率も増加することとなっている。
サービスプロバイダーやデータセンターのこうした背景を受けて、ブロケードでは、従来よりポート密度の高い、加えて拡張性の高いMLXeを開発するに至ったと村田氏は説明している。
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