Twitterの関係者は、Mike Wise氏にシャンパンでも贈るべきだ。
The Washington Postのスポーツ記者であるWise氏は、先ごろ叱責を受けた。Twitterを使ってウェブに意図的に偽情報を流し、勤め先である同紙の信用を軽視したとして、先週停職処分を受けたのだ。Wise氏は、The Washington Postの記者だと特定できるTwitterアカウントを使って、NFLのPittsburgh Steelersでクォーターバックを務めるBen Roethlisberger選手に関する偽スクープをつぶやいたのだが、これは一部のジャーナリストやブロガーが、いかに根拠のない噂を事実確認もせずに転載して広めるかということを証明するための実験だった。そこには、情報源としてのブログやソーシャルネットワークの弱点を明らかにしようという意図があった。
ところが実際には、情報パイプラインとしてのTwitterの重要性をかえって浮き彫りにする結果となった。
もちろん、ソーシャルネットワークで発信されるニュースのすべてが正確なわけではない。だが、Twitterは誰もが情報を発信できるプラットフォームにすぎないことを、Wise氏は認識しておくべきだった。Twitterには玉石混交の情報が流れており、情報源の信頼性を判断するのはあくまで読者だ。優れたジャーナリストやブロガーの多くは、毎日Twitterを利用して読者に速報ニュースや最新記事についての情報を発信している。
Twitterに速報ニュースを流すのはプロだけではない。2009年1月にU.S. Airwaysの旅客機がニューヨークのハドソン川に奇跡的に不時着水した事故の第一報と最初の写真の一部は、Twitterを利用しているアマチュアジャーナリストによってもたらされた。2009年11月にフォートフッド陸軍基地で起きた銃乱射事件の第一報が流れたのもTwitterだった。
Twitterの広報担当者Matt Graves氏が示した興味深い統計結果によると、Twitterへの投稿の4分の1が、ニュース記事や動画など、他のコンテンツへのリンクを含んでいるという。Twitterの月間ユニークビジター数が1億9000万人にのぼることを考えると、実に多くのコンテンツがこのプラットフォームを通じて急速に広まっていることになる。
しかしWise氏は、Twitterを正式なニュース配信手段とは考えていなかったようだ。米国時間9月5日に放送されたCNNのテレビ番組「Reliable Sources」のインタビューにおいてWise氏は、これがThe Washington Postなら偽情報を掲載することはしなかっただろうと認めた。Wise氏はすでに、事件のことをThe Washington Postの同僚と上司に謝罪している。オンラインに偽情報を流せば、オフラインと同じ結果を引き起こすということを思い知ったようだ。
すでにその代償を支払った人の行為について、これ以上非難しても仕方がない。Wise氏は素直に自分の過ちを認めており、また自ら進んで教訓となることも辞さない様子だ。インタビューの中でWise氏は、The New York TimesとThe Washington Postで20年をかけて築いてきた信用が、Twitterにデマを書き込んだ15秒間で崩れ去ったと語っている。
「これから信用を取り戻す方法を見つけたい」とWise氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス