今回の買収完了にあわせて、SAPはSybaseを独立した事業部門として運営し、顧客のSybase製品への投資を保護することを明言している。「エンタープライズモビリティ」「ビジネスアナリティクス」「エンタープライズインフォメーションマネジメント(EIM)」の3つの分野において、製品の戦略的方向性と共同イノベーションの計画を明らかにした。
まず、今後9カ月以内に、両社はすべての主要モバイルOS上で動作し、すべてのモバイル機器で動作するオープンスタンダードに基づいたモバイルプラットフォームのための技術を用い、「SAP Business Suite」や「SAP Business ByDesign」などをモバイル版として提供する。
具体的な取り組みとして、「SAP NetWeaver Mobileコンポーネント」と「SAP BusinessObjects Mobileソフトウェア」を、「Sybase Unwired Platform」と統合し、統合分析機能を持つシングルモバイル開発および開発プラットフォームを提供する。さらに、SAP Business Suiteに容易にアクセスできるSAPのオープンベースの新しい技術により、SAPアプリケーションのモバイル化を加速するという。
次世代モバイルプラットフォーム上で、業界に特化したモバイルアプリケーションの開発と提供も行う考えで、「iPhoneやiPad、Androidなどといった新たなデバイスにも対応していく」(Chen氏)とした。
また、SAP Business Suiteをはじめとするソリューションを、Sybaseのデータマネジメントサーバ上に移植、最適化することで、SAPアプリケーションに対して、幅広いデータベースプラットフォームの選択肢を提供するという。なお、SAP BusinessObjects BIソリューションはすでに「Sybase IQ 15.0」と「Sybase ASE 15.0」での認証を受けている。
一方で、両社はデータマネジメントサーバ上でのSAP BusinessObjectsによるBIソリューションの可能性をさらに発展させ、エンドトゥエンドの機能を提供し、最適化されたハイパフォーマンスのビジネスアナリティクスインフラストラクチャを提供するという。さらに、SAPのインメモリコンピューティング技術をSAPとSybaseのデータマネジメント製品に組み込むことで、あらゆる種類のデータを、どこでもリアルタイムにアクセスできるようにする計画だ。
また、クラウドコンピューティングへの影響について、Snabe氏は「オンプレミスにおいてはマーケットリーダーであるSAPが、今回のSybaseの買収によって、クラウド環境でも存在感を発揮できる。オンデバイスという切り口では、最適なソリューションを提供できるのは明らかだが、今後はオンデマンドの領域において、次世代のオンデマンドプラットフォームを開発し、提供していくことになる。7月にはSAP Business ByDesignを投入しており、これによりオンデマンド市場への展開を加速していく」とした。
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