ヤフーがYahoo! JAPANの検索サービスに米Googleの検索エンジンを導入することを決定した。あわせて検索結果画面への広告配信システムもGoogleを採用する。
Yahoo! JAPANはこれまで、米Yahooが開発する検索エンジン「Yahoo Search Technology」(YST)を使用していた。国内最大手のポータルサイトがここに来てGoogleを採用することは検索業界にどのような影響を与えるのだろうか。2007年3月に日本に進出した中国の検索サービス「Baidu.jp」を運営するバイドゥの社長、井上俊一氏に聞いた。
2年前までヤフーの検索事業部長として、Yahoo! 検索に関わるビジネス全般を率いていた井上氏は、「YSTがなくなるのは個人的に寂しい」としながらも、ヤフーとGoogleの提携はバイドゥにとって追い風であると話した。
「利用者の視点でみれば、1つの結果しか出てこないという状態になる。そうなると自ずと他の情報も知りたいというニーズが高まってくると思う。今回の件で選択肢としてバイドゥの存在意義がますます高まってきたのではないかと思う」
現在、検索市場は両者の提携を超えたところで変化しつつあるという。「検索市場にとどまらず、ネット全体としてソーシャルメディアが台頭し、情報入手経路がこれまでの検索エンジンから少ずつ変化しているという大きなトレンドがある」
バイドゥが7月に公開した新サービス「てぃえば」は、検索キーワードをベースにユーザーが情報を投稿し合うというもの。ユーザー同士のコミュニケーションが情報を生み出し、ほかのユーザーにとっての新たな発見となる。バイドゥが中国で圧倒的なシェアを握るきっかけとなったサービスだ。
「検索はなくならない。ただ、これからは検索とコミュニケーションの両方を持ち、それらをシームレスにつなげられるサービスが求められていく。これこそバイドゥの強みが打ち出せる分野だと考えている」
今後はウェブ検索だけでなく、コミュニティの要素を取り入れた“サーチ&コミュニケーション”をコンセプトにサービスを提供していく方針だ。
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