iPhone4、XperiaなどのスマートフォンやiPadといった、電子書籍を手軽に楽しめる端末が多数発売されたことから2010年は「電子書籍元年」と言われている。しかし、閲覧できる端末は増えているものの、肝心のコンテンツが充実しているとは言い難いのが現状だ。各社ともに電子書籍コンテンツの配信方法を模索してる段階だろう。
なかなか煮え切らない電子書籍市場だが、6月以降、携帯電話大手3社が立て続けに電子書籍ビジネスへの本格参入を発表している。
口火を切ったのはソフトバンク。iPhoneやiPadで「週刊朝日」「FRIDAY」「CanCam」など、30以上の雑誌や新聞を定額で読むことができるコンテンツ配信サービス「ビューン」を6月1日に開始した。
しかし、開始直後より予想を大幅に上回るアクセスが集中したため、同日サービスを一時停止している。その後システム増強を経て、7月6日にiPad向けサービスを正式に再開し、7月30日にiPhoneおよびiPod touch向けのプレ配信を開始した。
また、ビューンは7月6日に毎日新聞社、電通、西日本新聞社の3社を引受先とした第三者割当増資を実施している。増資金額は毎日新聞社が9000万円、電通が5000万円、西日本新聞社が4000万円で、合計1億8000万円。6月29日に出資金の払込が完了している。
ビューンのサービス開始から1カ月後の7月1日、KDDIがソニー、凸版印刷、朝日新聞社らと4社で、電子書籍配信事業に関する事業企画会社「電子書籍配信事業準備株式会社」を設立した。資本金および資本準備金は3000万円で、出資比率は4社で25%ずつとなっている。
新会社は10月をめどに、書籍、コミック、雑誌、新聞などを対象とした、デジタルコンテンツの共通配信プラットフォームの構築と運営を行う事業会社に移行する予定。2010年内の配信サービス開始を目指すとしている。
それからさらに1カ月後の8月4日、NTTドコモと大日本印刷(DNP)が電子出版ビジネスで提携した。共同で事業会社を設立し、NTTドコモの携帯電話やスマートフォン向けの電子書店サービスを2010年秋に開始する予定。
書籍やコミック、雑誌、新聞など10万点を超える電子書籍コンテンツを販売し、DNPグループのリアル書店やオンライン書店とも連携する。さらに、2010年冬モデルに電子書籍専用のスマートフォンを発売するほか、端末間で読書状況を共有できる機能なども提供するという。
以上のように、各社が独自路線で電子書籍への取り組みを進めている状況だ。KDDI、NTTドコモがともに2010年秋ごろから本格的に動き出すことを考えると、電子書籍市場が本当の盛り上がりを見せるのは2011年以降かもしれない。
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