KDDIは7月28日、auのエリア、通信品質の向上に向けた取り組みについて説明した。説明会では、KDDI モバイルネットワーク開発本部長の湯本敏彦氏が登壇した。
湯本氏は、KDDIが2007年に実施した顧客満足度調査の結果から、ユーザーは自宅や駅での携帯電話の電波状況に不満を持っていると説明。これらの課題を解決するために実施した施策として、エリア対策、インフラ対策、移動機対策を挙げた。
エリア、インフラ対策では、個人宅の電波状況を改善する取り組みとして、2009年6月に電波調査サービス「みんなでつくろう!auエリア」を開始した。訪問調査の結果を元に「auレピータ」や「auフェムトセル」(7月より受付開始)を自宅に設置し電波状況を改善する。「auレピータ」は、電波が届きにくい室内に屋外の電波を引き込み増幅させる電波改善ツール。「auフェムトセル」は、自宅内に小さな範囲の携帯電話の通話エリアを形成する小型基地局。
「auレピータ設置後は、通話発信時の接続時間が約40%短縮、また通話接続失敗率や音質劣化率も大幅に減少した」(湯本氏)また従来の基地局では、上りのアクセスが集中すると移動機のトラフィックを自動的に制御する仕組みを採用していた。しかし、近年はアクセス頻度に比べてトラフィックデータ量が少ないTwitterやソーシャルゲームの利用者が増加していることから、トラフィックを制御しない設定に変更した。その結果、電車内でのメール送信時間が約40%短縮(山手線の事例)されたという。
地下鉄の電車入線時に急増するトラフィックに着目した設計基準を設定し、基地局のチャネルを増強したことで、地下鉄のホームでのau one TOPページへのアクセス時間も約40%短縮した。
移動機対策としては、2010年夏モデルの一部端末のCPUを高速化したことで、2010年春モデルと比べて、メール送信時間が約20%、検索サイト接続時間が約30%短縮された。要望の多かった、メール送信の待ち時間を表示する「プログレスバー」も導入している。
2010年の秋には、新たな通信方式「EVDOマルチキャリア」(3.5G)を導入し、2010年秋冬モデルの携帯電話端末から対応するとした。
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