IDC Japanは7月27日、国内通信事業者の光アクセス機器および光伝送装置市場について2009年の実績と2010〜2014年の予測を発表した。これによると、「光アクセス機器」および「光伝送装置」の両市場の2009年総売上高は前年を大きく下回る結果となった。IDCでは、市場の成熟、価格の低下、通信事業者の設備投資抑制などの影響と分析している。
IDC Japanの定義する国内光ネットワーク機器市場は「GE-PONシステム(OLT、ONU)」「VDSLシステム(VDSL、VDSLモデム)」「メディアコンバータ」を含む光アクセス機器市場と、「メトロWDM」「長距離DWDM」「OCC」「SONET/SDH」「次世代SONET/MSPP」を含む光伝送装置市場とで構成される。
2009年の光アクセス機器市場規模は、646億1700万円となり、前年比成長率マイナス32.8%と大幅な縮小となった。特に、GE-PONシステムの売上高は大幅に落ち込んだ。これは2008年に生じたOLTの特需による過剰在庫が主な要因とIDCでは推定している。また、VDSLシステムの売上高の落ち込みは、FTTHの重点がVDSLからGE-PONに移行した結果であり、メディアコンバータの売上高下落は、VDSLの売上が減速したことに起因しているとみている。2009〜2014年の同市場の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はマイナス8.1%で、2014年の売上額は、422億7000万円まで縮小する見込みだという。
一方、光電送装置市場における2009年の売上額は813億4700万円、前年比マイナス19.4%という結果になった。2009〜2014年のCAGRは、ほぼ横ばいで推移し、2014年の売上額は823億100万円とIDCでは予測している。要因として、NGNの展開によるメトロWDM装置の需要が一巡したこと、インターネットトラフィックの急増による長距離DWDM装置の需要が一巡したこと、さらに、景気の低迷により通信事業者の設備投資が抑制されたことなどによると説明している。
IDC Japan、コミュニケーションズグループマネージャーのGeorge Hoffman氏は、「光アクセス機器市場においては、2013年以降に10GE-PONによる新たな市場機会とハードウェア市場の熾烈な競争が予想されている。国内通信事業者のネットワークインフラ構築の実績を持つ国内の大手アクセス機器ベンダーは、自社ハードウェアの販売に執着せず、より付加価値の高いプロフェッショナルサービスを提供するソリューションベンダーとしての生き残り戦略を検証することも重要な選択肢と考えられる。光伝送装置市場においては、独自性のあるテクノロジベンダーと戦略的パートナーシップを構築し、さらには海外での事業展開のためのチャネルを開拓する必要がある」とコメントしている。
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