学生団体applimは7月10日、東京・六本木にて学生向けビジネスプランコンテスト「applim」決勝レセプションを開催した。会場には大学生を中心に300人が詰めかけ、応募60チームから勝ち進んだファイナリスト5チームがプレゼンテーションを繰り広げた。
このビジネスプランコンテストは、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上で展開するソーシャルアプリを使って、企業からの広告費による収入を得るマーケティング手法を提案するというもの。決勝戦ではブレークスルーパートナーズ共同創業者の赤羽雄二氏、日本コカ・コーラ インターラクティブマーケティング統括部の江端浩人氏、博報堂の須田和博氏、宣伝会議編集室長の田中里沙氏、アジャイルメディア・ネットワーク代表取締役の徳力基彦氏、電通の中村洋基氏の5人が審査員を務めた。
ファイナリスト5チームのソーシャルアプリ企画は以下のとおり。
プレゼンテーションの後、宣伝会議編集室長の田中里沙氏を司会にして、審査員によるパネルディスカッションが開催された。
審査員からはまず「学生の質は非常に高い。うちの会社にインターンとして来て欲しいほど」(徳力氏)、「現場で同じようなことをやっているので、学生のアイデアをパクってしまいそうだ」(中村氏)「『こういう場合はどうするんだ』と(審査員から)突っ込まれても、ちゃんと答えを用意しているのがすごい」(田中氏)と、参加者の質の高さを褒める声が相次いだ。
しかしその一方で、主催者側から特に対象とするSNSの指定がなかったにもかかわらず、ファイナリスト5チーム中4チームがmixiアプリを提案してしていた。これについては「mixiばかりをターゲットにするのは残念。foursqureやFacebookなど、ほかのプラットフォームも使うべき」(中村氏)、「FacebookはAPIがよりオープンになっているし、世界最大。プラットフォームとしてぜひ考えて欲しい」(赤羽氏)と、多様なSNSに目を向けることの必要性も訴えられた。
また、今回のコンテストはビジネスプランを対象とした“企画コンペ”であり、実際にプログラムを公開しているわけではない。しかし審査員からは「この分野はやってみないとわからない。立ち上げコストが少なくてすむのだから、さっさとスタートすればよい」(赤羽氏)、「クライアントを見つける前に、どんどん作って公開しよう」(中村氏)、「半完成品でもいいから、公開すべき。評判になってからクライアントに売り込めばいいだろう」(須田氏)、「ソーシャルアプリには完成というものがない。むしろ、リリースして3年も放っておいたら飽きられてしまう。パソコンがダウンするようなバグがあっては困るが、公開して使ってもらおう」(江端氏)と、積極的にアプリを公開することを強く勧める声が相次いだ。
就職を考えている学生に向かっては「うちではインターネットの技術をきちんと知っている学生を採用する。細かい知識は必要ないが、何ができて何ができないのか、分かっていないと仕事にならない」(江端氏)、「成功するには熱意、向上心、柔軟性が必要」(赤羽氏)というアドバイスもあった。
ネットや広告分野の見識が深い審査員たち。会場の学生からは、「情報収集やアイデア出しをどのようにやっているか」という質問が投げられた。これに対して徳力氏は「情報収集に走らない方がいい。インプットよりアウトプットに時間と労力をかけよう。ここにいる学生が、数年後にはソーシャルマーケットの第一人者になっているかもしれない。ブログなどでどんどん情報発信すべき」と回答。赤羽氏も「自分はインプットよりアウトプットに力を入れる。ここにいる学生は、日本でソーシャルアプリのトップエキスパートだ。学生同士の勉強会でもいいから、積極的に講演するなどアウトプットすべき」(赤羽氏)と、情報発信が重要だという意見が多かった。
最後の審査発表では、慶應義塾大学理工学部4年生の矢ノ目亮氏がリーダーを務めるTEAM YASASHIYAが最優秀賞を獲得した。発想力やコピーの力強さなどを高く評価され、見事30万円の賞金を獲得した。順位の詳細は以下のとおり。
順位 | 企画名 | チーム名 |
---|---|---|
1位(最優秀賞) | 真夏のズッキュン大作戦 | TEAM YASASHIYA |
2位 | Join the GUINNESS | TEAM BKBKR |
3位 | Marriage Party | TEAM PON |
4位 | HAPPY BIRiceDAY | TEAM タンカレー |
5位 | 日本の果てまで食ってQ | TEAM koad-f |
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