IDC Japanは6月9日、国内ストレージソフトウェア市場の2009年売上実績と、2014年までの予測を発表した。同調査によると、2009年の国内ストレージソフトウェア売上は689億1100万円で、前年比9.1%の減少となった。IDCでは国内ストレージソフトウェア市場の2009年から2014年までの年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を2.2%、2014年の市場規模を770億円と予測している。
IDCによれば、ストレージ市場には、リーマンショック後の影響が比較的遅く表れ、2008年下半期までは堅調な成長を持続していたという。しかし、2009年から同市場の前年同期比成長率は、上半期でマイナス9.3%と縮小に転じた。2009年下半期も成長率の低迷は回復せず、マイナス8.9%にとどまり、年間を通して大幅な市場縮小となったという。ただし、その厳しい市場環境の中でも、これまで国内ストレージソフトウェア市場をけん引してきたデータ保護およびリカバリソフトウェアは、回復時期についても他の製品分野をリードしており、2009年下半期の前年同期比成長率はプラス2.0%に戻っているという。
一方、全体として規模が縮小したものの、ストレージソフトウェア市場において普及拡大の傾向が見える製品も登場しているという。重複排除技術(Deduplication)やシンプロビジョニング(Thin Provisioning)がその例で、これら新技術はITインフラの最適化、運用コスト削減の要求を満たすものとして、今後も確実に普及が進むとIDCでは見ている。技術的成熟度が高まっているストレージ仮想化ソフトウェアは、まだアーリーアダプターの導入が拡大している段階だとしたうえで、IDCはサーバ仮想化などインフラの統合を促進する技術の普及を追う形で、徐々に新たな技術の利用が拡大していくと予測している。
IDC Japan、ストレージシステムズリサーチマネージャーの鈴木康介氏は「ニューノーマルという言葉に代表される低成長時代を迎え、多くのユーザー企業は社内のデータを利活用し、企業競争力向上を図りたいとの希望を持っている。加えて、今後はプライベートクラウドの構築、パブリッククラウドとの連携を図ろうとする企業も増えることが予測される。このような状況の変化はデータ運用の見直し、ストレージの統合への流れを強めると考えられ、ストレージソフトウェア市場の成長を後押しする要因は多い」とコメントしている。
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