各種製品を「Xen」ブランドで束ねるCitrix Systemsは、一般的に仮想化ベンダーだと考えられている。しかし、実際はアプリケーション配信の効率化に競争力を持っており、そのコアコンピタンスの維持、成長の一環として仮想化技術を獲得したという事業背景を持つ。
それも今や変わりつつあるようだ。Citrix Systemsの2010年第1四半期決算によれば、「XenApp」や「XenDesktop」を含むデスクトップソリューション部門が全売上の63.7%を占め、「NetScaler」擁するデータセンター&クラウドソリューション部門の14.7%を圧倒している。(しかし、それでも同部門の売上は前年同期比で23%増だ)
同社はこの決算を発表した直後に、サンフランシスコでCitrix Synergy 2010を開催した。会期中、同社社長兼CEOのMark Templeton氏をインタビューする機会を得たため、アプリケーションデリバリーとしてのクラウドコンピューティング、競合企業の取り組みに対してコメントを求めた。
ZDNet Japan: ユーザーにより効率良くアプリケーションを届ける仕組みとして、クラウドコンピューティングに注目が集まっている。VMwareとSalesforce.comが提携し、VMforceという取り組みを始めたが、こうした動きをどのように受け止めているか?
Templeton氏: 良いアイディアだと思う。VMforceは、特にSalesforce.comにとって良い取り組みとなるだろう。Javaの開発ツールを、彼らのPaaSで使えるようにしているからだ。多くの開発者にとって有用なものになると見ている。
ZDNet Japan: 同様の取り組みを検討したことは?
Templeton氏: 無い。Citrixの事業はクラウドのインフラ部分にとどめる。VMwareはスタックの下の部分であるインフラから、アプリケーション開発へと上部に進んでいるが、Citrixは事業の運営上、インフラにとどまるのが最善と考えている。
CitrixもVMwareも仮想化技術を持っているが、性格は大きく異なる。VMwareはスタックの上に進むしかない状況だが、(選択肢が増えることから)顧客にとっては良いことだろう。我々はCitrixに利益が出るように戦略を立てているし、VMwareもそうだ。
ZDNet Japan: なぜインフラにとどまった方が良いと考えているのか?
Templeton氏: 我々の技術をアプリケーション開発企業やサービスプロバイダーに売りたいからだ。アプリケーション分野で、そうした企業と競合するのを避けたい。また、サービスプロバイダーはインフラに注力している企業の技術をほしがるだろう。なぜなら、安定した基盤の上に価値を構築したいからだ。
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