シャープは5月17日、2010年度経営戦略説明会を開催した。大阪・堺工場の液晶パネル増産計画や太陽電池事業の展開などを明らかにした。
主力事業として掲げたのは、「大型液晶、液晶テレビ事業」「中小型液晶、携帯電話/スマートフォン事業」「健康・環境、太陽電池事業」の3つ。それぞれの取り組みについて、代表取締役社長の片山幹雄氏が話した。
「2011年もテレビ向け大型液晶パネルの品不足は続く」(片山氏)と話す大型液晶、液晶テレビ事業は、大阪・堺工場の生産能力を現在の月産3万6000枚から、5月に月産5万5000枚へと引き上げる計画を明らかにした。堺工場では、7月にも月産7万2000枚体制へと増産することを発表しており、2段階で増産体制を強化する。
片山氏は「新興国市場での需要拡大、第6世代、第7世代ラインでの生産品目をテレビ用からPC用へと転換することなどからテレビ向けパネルの需給はタイトになる」と話す。加えて「LEDテレビの販売伸長、3Dテレビの需要拡大などにあわせて、新技術にふさわしい液晶パネルが必要になる。こうした高性能パネルを供給できるメーカーは限定されている」と液晶パネル事業に対する自信をうかがわせた。
シャープでは、光利用効率の高い「UV2A技術」と、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色にY(黄)を加えた「4原色技術」を持つ新液晶パネル「クアトロン」を開発。すでにクアトロンパネルを搭載した「AQUOS」を、4月に米国、欧州で発売している。日本では夏ごろに投入される予定だ。
また地域別の需要予測として、エコポイント需要がけん引する日本市場とともに、中国での大幅拡大を狙う。2010年3月時点で約5200店舗ある取り扱い店を12月には約1万店へと拡大するほか、取り扱いモデルを現在の24モデルから10月には30モデル以上に増やす予定だ。
中小型液晶、携帯電話/スマートフォン事業については、「2009年を底に新しい需要が伸長していくと考えている。スマートフォンには高精細、タッチパネルの高性能パネルが必要であり、当社のCGシリコン液晶を生かせる」とスマートフォンに期待を寄せる。
またマイクロソフトと共同開発したスマートフォン「KIN」を紹介。「新たなスマートフォンを創出してグローバル展開を図りたい」(片山氏)と、スマートフォン市場への意欲を示した。
携帯電話事業においても、液晶テレビ同様に中国市場での販売店舗数の拡大と販売ルートを開拓する予定。2010年中に計35機種をラインアップする予定だ。
健康・環境、太陽電池事業では、「事業の種ができたと思っている」(片山氏)とするLED照明事業の拡大に取り組むほか、薄膜太陽電池を成長エンジンに据えるとした。「米国、欧州では、これからメガソーラー発電が伸長してくる。それに適した薄膜太陽電池について、2010年度には2008年度の約8.4倍の販売量を目指す」(片山氏)とした。
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