5月10日の株式市場でソフトバンク株が5営業日ぶりに反発した。5月8日、子会社のソフトバンクモバイルが米Appleの「iPad」を5月28日から発売すると発表した。従来から想定されていた内容ではあるが、株式市場は価格設定などを含め好意的に受け止めているようだ。
ソフトバンクモバイルは発売に向け、5月10日から予約受付を開始した。価格は、16GバイトのWiFiモデルが4万8800円、32Gバイトモデルは5万8800円、64Gバイトモデルは6万8800円。かねてから発売観測があっただけに株式市場では材料出尽くしとなる可能性もあったが、発売発表を受けた同日はおおむね好意的な評価となっている。
発表内容を受けて各社アナリストがレポートを作成。欧州系のクレディ・スイス証券では「消費者に思わず『欲しい!』と思わせる極めて魅力的な料金プラン」と評価。2台目需要を含め、相応の加入者増が期待できるとコメントした。米系のメリルリンチ日本証券も通信方式も含め「正式発表したことは株価にとって明確な好材料」と評している。ただ、「本質的な注目点はiPadの販売台数、特に3Gモデルがどれだけ売れるか」と冷静な見方は崩していない。
ここまで株式市場で「iPad」はコンテンツ関連企業の株価材料となってきた。電子書籍やゲームなどソフト関連企業が対応する姿勢を示し、株価も好反応となっていた。日本初XML専門ソフト開発会社であるインフォテリアが専用アプリを先行して発表していたほか、閲覧アプリを投入した組み込みソフトのACCESSなどが人気化。電子書籍ではフォーサイド・ドット・コム、インフォコムなどが波及的に好影響を受けると期待される関連銘柄として活気付いていた。
ソフトバンクは日経平均株価にも採用される日本を代表する企業であるとともに、個人投資家人気が非常に高く、株式市場における存在感が強い銘柄。時価総額の大きさなどからコンテンツ企業のような急騰劇は期待しづらいものの、今後は「iPad」の予約状況や発売前後の動き、販売動向などが折りに触れて株価の刺激材料となっていきそうだ。
なお、4月末に発表している2010年3月期決算は、連結売上高が2兆7634億円(前期比3.4%増)、営業利益は4658億円(同29.7%増)。2011年3月期は営業利益計画のみの公表だが、5000億円(10年3月期実績比7.3%増)を掲げている。iPhoneで携帯電話契約者を増やすほか、データ通信収入の増加を見込み、6期連続の過去最高益更新を狙う。
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