バルセロナ発--世界の大手移動体通信事業者24社が、モバイルアプリケーションの需要に応えるべく、「オープンな国際アプリケーションプラットフォーム」の構築へ向けて団結しようとしている。
スペインのバルセロナで開催中の見本市およびカンファレンス2010 Mobile World Congress (MWC)において、携帯電話事業者24社が現地時間2月15日、「Wholesale Applications Community」(WAC)の発足を発表した。WACは、モバイルアプリケーションストア開設用プラットフォームの構築を目指す取り組みで、構築されたプラットフォームは、アプリケーション開発者のための共通の入り口として機能するという。なお、WACにはVerizon Wireless、AT&T、NTTドコモ、Deutsche Telekom、China Mobile、Vodafone Groupなどが参加している。
今回の取り組みには、モバイルアプリストアの分散化を抑制する狙いがある。市場には現在、すでに30を超えるアプリストアが存在する。最大の人気を誇るのは、Appleが「iPhone」、「iPod touch」、および先ごろ発表となった「iPad」向けに開設している「App Store」で、14万本以上のアプリケーションを扱っている。
それ以外の携帯電話およびモバイルOS各社は、独自のアプリストアを開設している。Nokiaのアプリストア「Ovi Store」は、同社によると1日のダウンロード件数が100万件を超えるという。そのほか、「BlackBerry」端末メーカーのResearch In Motion(RIM)も独自のアプリストアを提供している。また、モバイルOSで競合するGoogleとMicrosoftも、それぞれ「Android」と「Windows Mobile」向けにアプリストアを開設している。さらには、GetJarなどの独立系アプリストアも存在する。GetJarのアプリストアは、Sprint Nextelが米国時間2月10日、一部の同社製携帯電話において同ストアを利用可能にすると発表し、支持を拡大したばかりだ。
しかし、こうしたアプリストアの一部が勢いを増しているとはいえ、いまだAppleのApp Storeに匹敵する成功を収めたところはない。
WACには、移動体通信事業者24社が参加しているほか、業界団体のGSM Association(GSMA)、および携帯電話メーカー3社(LG電子、サムスン電子、Sony Ericsson)も支持を表明している。各社を合わせたサービス加入者数は、全世界で30億人を超える。
この大規模な取り組みで問題になるのは、完成したアプリストアが、あまりに多くの通信事業者や端末にまたがって機能することになる点だ。App Storeは、アプリケーションが基本的に限られた数の端末向けに開発されていて、なおかつ、それら端末上のソフトウェアに一貫性があり、Appleによって管理されている点が優れている。
一方で、今回の取り組みがもたらし得るメリットの1つは、開発者が自らのアプリケーションを利益に変えやすくなることだ。開発者が自身のアプリケーションに課金できるようにするには、通信事業者の料金請求システムを通じてアプリケーションの料金も請求できることが非常に重要だ。この点でも、AppleのApp Storeは人気の高い既存のEコマースサイト「iTunes」と連動することで成功を収めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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