Googleの元最高情報責任者が披露する現代の情報整理術は、単なるデジタルツールの活用術に終わらず、自分の生き方そのものを見つめ直すきっかけを与えてくれる。本書は、そのためのガイドブックのような役割を果たしている。
「完璧な整理術などない。重要なのは、その方法の限界を把握し、それをうまくくぐり抜ける方法を見つけ出すことだ」という。そのため、整理術を羅列するだけではなく、人間の行動そのものや心理にまで言及して、読者に整理術を有効に活用してもらおうと試みている。
本書は大きく3つのパートに分かれており、パート1では、脳のしくみを知ることから始まり、自分自身の行動、環境、制約などを客観的に観察して、考えることに重点をおいている。具体的なテクニックやエピソードも満載で、紹介されているテクニック自体を覚えやすい。
パート2では、目標を実現するために必要な情報の見つけ方と、見つけた情報の活用のしかたが中心となり、いよいよ、デジタルツールの利用法や、デジタルツールとアナログツールの賢い使い分けなどが、次から次へと紹介される。基本的には、「情報は整理するのではなく、検索する」という考えで、Gmailを始めとするGoogleの各種無料ツールや「iPhone」「Kindle」など、最近人気のツールを網羅している。
最後のパート3では、仕事とプライベートを「切り離す」のではなく「融合」させるための方法や、突発的に発生する事柄に対処する方法など、日々の仕事や生活での態度や姿勢といった、メンタルな部分について触れている。
著者のある個人的な体験が軸となって、情報整理のテクニック以外の物語についても先が知りたくて、最後まで一気に読み通してしまう。そんな、ビジネス書には珍しい1冊だ。
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