日本の携帯電話端末で標準的に搭載されていてiPhoneにはない機能として、よく挙げられるのがワンセグ、おサイフケータイ、「デコメ」と呼ばれるHTMLメール機能だ。ワンセグについてはiPhone専用の外部チューナーとアプリがソフトバンクBBから発売されており、おサイフケータイに代わるものとしてはSuicaなどのICカードが入れられるiPhoneケースが販売されている。そしてデコメについても、ついに対応アプリが登場した。
システム開発会社のケイビーエムジェイ(KBMJ)が2009年12月22日にリリースした「スマイリーメール」は、iPhoneでデコメを作成し、送信できるiPhoneアプリだ。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの3キャリアとPC向けに送信できる。価格は230円で、キャンペーン期間中は半額の115円となる。
スマイリーメールを開発した理由について、KBMJ代表取締役会長の木村武弘氏は「iPhone 3GSが出たころ、自分の回りにいる女性たちに使いたいかと尋ねたら『デコメが使えないならiPhoneはムリ』と言われた。それだけニーズがあるのであれば、iPhoneでもデコメを使えるようにすればいいのではないかと考えた」と話す。
また、KBMJとして世界にサービス展開をしたいという思いもあり、世界に先駆けて発展している日本の携帯電話の文化は世界に通じるのではないか、と判断したとのことだ。このため、スマイリーメールは全世界81カ国で同時発売している。
苦労したのは、Appleから提供されているiPhoneアプリ用の標準フレームワークを使わず、一からアプリを開発する必要があった点だという。そもそもデコメという文化自体、米国には存在していない。iPhoneからHTMLメールを送るという想定がされていないのだ。このため、スマイリーメールではQWERTYキーで日本語入力ができず、テンキー入力のみといった制約が出てしまっている。
また、HTMLメールといっても通信キャリアによって仕様が異なるため、PCメールでは表示できても通信キャリアによっては表示されないHTMLタグなどもあり、開発に時間がかかったという。スマイリーメールではユーザーから送られたメールをKBMJのサーバで各通信キャリア向けに変換した上で送信するようになっている。
なお、海外では日本の通信キャリアの仕様に合わせる必要がないことから、アプリの設定を海外向けにした場合はフォントや文字サイズも変えられるようにしている。
使えるデコメ素材はスマイリーメールに内蔵されたもののみで、モバイルサイトからダウンロードしたり、他人から送られたメール素材を再利用したりすることはできない。リリース時点ではデコメ絵文字176種類、アニメーションバナー40種類を用意しており、その後もアプリのバージョンアップに合わせて素材を追加している。将来的には素材の有料配信もしたいというが、「まずはプラットフォームとしてスマイリーメールを広げたい」(木村氏)とのこと。
国内ではiPhoneでデコメが使えないことに不満を感じていたユーザーから大きな反響があったという。ただ、海外での展開は未知数だ。デコメメールを受け取ったユーザーが興味を持ち、新たなユーザーとなるような形で少しずつ広がっていくのではないかとKBMJではみている。
まずはスマイリーメール自体の機能を進化させていく考えで、バグ修正のほか、メールを受信できるメーラーとしての機能を実装したり(現在は送信機能のみ)、デコメ素材を増やしたりといった基本機能の拡充を図る方針だ。
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