今後、ジャストシステムでは、ATOKに関して、「ローカルとウェブの融合」をより強化していく方針という。プラグインを追加することで、ウェブサービスAPIを利用したり外部データベースと連携したりできる。ジャストシステムでは、すでに「ATOKダイレクト for はてな」「ATOKダイレクト for Yahoo! JAPAN」などを提供しているが、従来よりも使いやすくローカルとウェブの情報を見比べられるようにしていくという。
今後、ATOKシリーズは「ATOK for iPhone」「ATOK for Android」「ATOK for Google Chrome」「ATOK for Enterprise」などさまざまなプラットフォーム向けに提供し、マルチプラットフォーム上でローカルとウェブを統合するとした。
ジャストシステム コンシューマ事業部企画部の佐藤洋之氏は、どのような形態で提供するか詳細は明かさなかったが、「いわばウェブで完結するATOK。あらゆるプラットフォーム上で展開していく。導入時期は、みなさんが想像されるより早い段階で進めていく」と近い将来にリリースをする考えを示した。
日本語入力ツールとしては、グーグルが12月3日に公開した「Google日本語入力」が話題を集めている。これについて佐藤氏は、「現時点での競争相手は、マイクロソフトやアップルの無償ソフトウェア。グーグルが日本語入力に参入してくれることは、注目が集まってウェルカム」と余裕の表情を見せた。
ジャストシステムは、「これまでもずっと無料と戦ってきた」と関係者は話す。PCには、マイクロソフトの「Microsoft IME」やアップルの「ことえり」などの日本語入力ソフトがOSに標準搭載されているからだ。
「かつてブラウザのシェアはInternet Explorerが占めていた。そこにFirefoxやGoogle Chromeが登場したことでユーザーは“乗り換える手段”があることに気づいた。それと同じ」として、グーグルが参入することが乗り換えのきっかけにつながるチャンスと捉える。「われわれはビジネスとして、人の目と手でエンジンを作っている」として、技術的にも品質としてもATOKへの強い自信を見せる。
6月に社長に就任したジャストシステム 代表取締役社長の福良伴昭氏は、一太郎の前身となるjX-WORDの開発を担当した人物だ。25年の一太郎の歴史を振り返りながら、「今後は情報端末などもさらに進化していくと思うが、環境が変わっても人がモノを考えて、ドキュメントで表現する行為は変わらない。人の思考と表現という大事な営みを大事にし、『これはすごいね』といってもらえる商品を取り組んでいく」とアピールした。
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