Microsoftが10月22日から世界で一般発売を開始する次世代のOS「Windows 7」が注目を集めている。Windows 7の機能面の特長は、タッチパネル操作への標準対応。タッチパネルの導入により、初心者にとってより扱いやすい、直観的な操作が可能となる。このタッチパネルの中長期的な需要拡大に関連して株式市場で注目を集めているのが電子部品大手の日東電工だ。
タッチパネルは表示と入力の2つの機能を備えており、コンピュータなどの外部から受けた画像情報を液晶ディスプレイなどで表示する。タッチパネルの利点は、各種機器の操作をキーボードなしで画面を見ながら操作できるなど、直観的な操作を可能にする点で、今後の高齢者人口増加にとって欠くことのできないツールとなっている。
既に、銀行のATM(現金自動預け払い機)を始め、交通機関の自動券売機、携帯電話、カーナビゲーションシステム、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤーなどで実用化されている。特に、2007年にアップルから携帯電話機の「iPhone」が発売されて以降、携帯電話機でタッチパネルが拡大傾向をみせてきた。
また、任天堂の携帯ゲーム「ニンテンドーDS」もタッチパネルを採用している。Windows 7の発売をきっかけにあらゆる電子機器や、家電製品にタッチパネルの需要が一気に広がることになりそうだ。
日東電工はタッチパネル用のITO透明導電性フィルム「エレクリスタ」を供給している。主に抵抗膜式のタッチパネルの上部電極に使われるが、静電容量での実績もある。また、タッチパネルにおいては70%ほどの圧倒的なシェアを持っている。
「エレクリスタ」の構造は、従来の透明電導膜では1層だけしか使用されていなかったPET層を2層使用している。これにより、同社のタッチパネルは(1)センサーの感度が高い、(2)ペン入力する時の書き心地が良好、(3)タッチパネルの有効面積が広がる――などの特長を持っている。
日東電工は、7月31日に2010年3月期の第1四半期(2009年4〜6月)の決算発表と同時に、第2四半期(2009年4〜9月)の連結業績予想を上方修正した。売上高を従来予想の2500億円から2800億円(前年同期比18.3%減)、営業利益も同40億円から180億円(同30.4%減)へ、純利益も同10億円から120億円(同33.4%減)へとした。
これは、需要先である液晶パネルメーカーの在庫調整が2009年3月期の第4四半期(2009年1〜3月)にほぼ終了し、日本を含めた世界各国の景気刺激策が功を奏して、薄型テレビ、パソコン、携帯電話などに使用される液晶パネルの需要回復が顕著となっているためだ。
今回は、2010年3月期通期の業績については従来予想を据え置いたものの、通期予想の連結営業利益230億円に対する第2四半期予想180億円の進ちょく率は、既に78%と高い水準に達しているため、今後通期業績が上方修正される可能性が高まっている。
日東電工の株価は昨年12月4日の安値1412円を底に順調に上昇を続け、8月3日には、3170円の年初来高値を付けた。その後は高値圏でのもみ合いとなっていたものの、先週末の4日には、終値で80円高の2905円と上放れの兆しをみせている。今後は中期的に3000円台での推移が期待できそうだ。
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