オープンソース企業のRed Hatが、同社の新しいハイパーバイザ管理ツール群について、さしあたっては「Windows」版のみのリリースとする意向を表明した。
Red Hatの製品および技術部門のプレジデント、Paul Cormier氏が米国時間9月2日、記者会見でZDNet UKの記者に語ったところによると、2009年末までにリリース予定のデスクトップおよびサーバ用ハイパーバイザ管理ソフトウェアは、MicrosoftのプロプライエタリOSを実行するシステムにのみ対応したものになるという。
この決定に至るまでには長い時間を要したと、Cormier氏は語る。
「決断には苦しんだ。自分の元へエンジニアたちが抗議に押し寄せると考えたからだ」。それでも、今回の決定は顧客からのフィードバックと要望に基づいているとCormier氏は述べた。「この管理ツール群は、さしあたってWindows上で稼動することになる」
同じく2日、Red Hatは「Red Hat Enterprise Linux 5.4」を提供開始した。同アップデートには、Red Hatの「Kernel-Based Virtual Machine」(KVM)技術がバンドルされている。KVMは、複数の仮想OSを1台のホストマシンまたはシステムで稼動できるようにするものだ。
ハイパーバイザ管理ツールの提供開始時期についてRed Hatは明確にせず、2009年末までには顧客の手元に届くと述べるにとどまった。この管理ソフトウェアは、「Red Hat Enterprise Virtualization」戦略の下でリリースされる製品の第1弾に名を連ねる見通しだ。
企業向けにRed Hatのサポートを提供する英国のオープンソース企業、Sirius Corporationの最高経営責任者(CEO)であるMark Taylor氏は現地時間7日、Red Hatの決定について「奇妙だが、理解はできる」とコメントした。
「(今回の決定は)理解できる。実際の市場ではデスクトップの大半がWindows上で動作しており、巨大なインストールベースがあるからだ。しかし、Red Hatが通常はGPL(GNU General Public License)のアプローチを採っていることを考えれば奇妙でもある。現実に即した決定だが、相互運用性への取り組みという意味では後退した印象だ」とTaylor氏は述べた。
Red Hatは伝統的に相互運用性を支持してきた企業であり、2日には、Microsoftが自社の「Windows Azure Platform」クラウドサービスプラットフォームに顧客を縛り付けようとしているとの批判を展開していた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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