Oracleが、仮想アプライアンスを構築するための新ツールを複数リリースした。Virtual Ironの買収以来、Oracleがサーバ仮想化の分野で大きな動きを見せたのは、これが初めてである。
米国時間8月12日に発表された「Oracle VM Template Builder」は、サードパーティーの開発者や企業の社内チームが仮想アプライアンスを作成するのを支援するグラフィカルツールだ。このオープンソース製品を利用すれば、ユーザーは「Oracle Enterprise Linux」のJeOS(Just enough Operating System)イメージと、「Oracle VM」やOVF仮想マシンの内部にあるアプリケーションやそのほかのソフトウェアを組み合わせることができる。JeOSイメージには、特定のタスクに必要なOSのコンポーネントのみが含まれており、サイズと複雑性の軽減、速度とセキュリティの向上が図られている。
今回の製品リリースは、OracleがVirtual Ironを買収した3カ月後に行われた。Virtual Ironの買収は、OracleがVMwareに対する競争力を強化し、ハイパーバイザやOracle VMなど自社の仮想化製品に対する関心を喚起するための手段と見られている。IDCのリサーチディレクターであるChris Ingle氏によれば、Oracleの仮想アプライアンス市場における勢力拡大の試みは理解できるが、 データベースを専門とする同社は仮想アプライアンス市場では苦戦を強いられる可能性があるという。
「VMWareのような企業は、以前からこの種の技術を提供している。VM Template内でできる新しいことがこれ以上あるとは、わたしには思えない」とIngle氏は述べた。
VM Templateを使えば、独立系のソフトウェアプロバイダーはOracleのサポートと顧客ベースにアクセスできるという恩恵を受けられる、とOracleのオープンソース製品担当マーケティングディレクターであるMonica Kumar氏は述べた。さらに、Kumar氏によると、同技術を使うことは、ハイパーバイザとデータベース、アプリケーションのスタックが十分にテストされ、統合されていることも意味しているという。
「われわれが提供しているのは、インストールおよびコンフィギュレーションがすでに完了しているソフトウェアだ。われわれは、ERPおよびCRMソフトウェアの導入作業が非常に困難で、長い時間を要することを過去の経験から知っている。従って、これらのテンプレートを構築すれば、顧客は時間とリソースを大幅に節約することができる」とKumar氏は述べた。
これらのテンプレートは、いかなる開発者やプロバイダーのソフトウェアでも使うことが可能で、Oracle製品に制限されてはいない。
Oracleは関連する発表の中で、「Siebel CRM 8.1.1」向けに設計されたOracle VM Templateも披露した。このOracle VM Templateは、Oracle VM上で動作するOracle Enterprise Linuxと「11g」データベースをベースにしている。さらに、Oracleによると、同社は導入前に仮想スタックをテストするためのキットもリリースしたという。同キットのリリースは、Oracle Validated Configurations Programの一環として行われた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」