去る7月30日に弊社はCGM分析サービスである「BuzzMetrics(バズメトリクス)」の提供を開始した。本サービスの特徴のひとつは多言語対応にあり、複数の言語を同一のスキームで分析できることにある。そこで、今回はこのBuzzMetricsからのデータを活用して、6月の話題を振り返りたい。
さて、6月の話題を思い浮かべると、真っ先に思いつくのは「KING OF POP」マイケル・ジャクソンの死だろう。現地時間、6月25日の突然の死亡報道で、世界が騒然とし、多くの人が衝撃を受けたことは間違いない。
マイケルジャクソンの死亡を報道したニュースサイトの複数でトラフィックが急増したり、Twitterも一時アクセスしづらい状況にあったことは報道でも取り上げられたとおりである。
では、CGMの世界ではどのくらいの人が彼の死を語ったのだろうか。各国のバズのボリュームを比較したい。死亡が報道された6/25の前後の10日間で、マイケルジャクソンについて記載されたメッセージ数(バズボリューム)は下記となった。
英語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、日本語におけるブログ、および、掲示板のメッセージ総数は約50万件。今回はYoutubeやTwitterは含めていないが、それらを含めると、その数は壮大なものになるだろう。言語別には英語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、日本語の順でボリュームが多い。
− | 日本語 | 英語 | ドイツ語 | スペイン語 | イタリア語 |
---|---|---|---|---|---|
6月24日 | 12 | 1194 | 30 | 21 | 10 |
6月25日 | 1427 | 10万1812 | 1979 | 2286 | 805 |
6月26日 | 3176 | 12万3156 | 1万4474 | 7154 | 4896 |
6月27日 | 869 | 4万1591 | 3421 | 2053 | 986 |
6月28日 | 533 | 4万32 | 2356 | 1645 | 610 |
6月29日 | 435 | 3万7275 | 2143 | 2018 | 805 |
6月30日 | 362 | 2万6875 | 1363 | 1703 | 463 |
7月1日 | 226 | 2万1464 | 911 | 1304 | 459 |
7月2日 | 198 | 1万8335 | 1088 | 1234 | 411 |
7月3日 | 185 | 1万6427 | 1241 | 1042 | 364 |
合計 | 7423 | 42万8161 | 2万9006 | 2万460 | 9809 |
やはり英語圏での人気は絶大で、25、26日の2日間で実に22万件と計測期間全体の約半分のメッセージが書かれている。
どの言語でも26日の書き込みが最も多く、その後ボリュームは下がるものの死亡報道前に比べて一定数のメッセージがかかれており、マイケルの死についての関心が持続しているのがわかる。特に英語圏では7/1以降も日々1万件以上のメッセージが書かれ、7/7の葬儀に再度ボリュームが増加し約4万件のメッセージが書かれた。
では、マイケルについて語っているメッセージ内容はどういったものか?筆者が読解可能な日本語と英語のみになるが、どのようなことが語られていたのか大まかに分類してみる。
日本語の場合は、「驚き」や「衝撃」を受けたというメッセージが多かったが、すぐに、マイケルの死を冷静に受け止めて、彼の曲を聞いていた時のシチュエーションやコンサート時の思い出を書き込んだメッセージが多く記載されていた。またYoutubeからの動画引用も数多くみられた。
一方英語でのメッセージをみると、報道のあった直後はやはり、死亡報道が本当かどうかの確認を行っているメッセージが多かった。死亡が確認されたあとは、思い出を語るというよりは、深い悲しみを表現し、冥福を祈るメッセージや、彼の才能、音楽界への貢献をたたえるものが多かった。
また、掲示板上では才能と過去の行動(裁判について)に関して、議論されており、才能と、彼のしたことは別で、素直に冥福を祈ることは出来ないといったコメントも記載されていた。全ての日において、全体の3%前後が「薬」に関しても触れているメッセージとなっている。
また、同日にTV版の元祖チャーリーズエンジェルに出演して人気だった女優のファラ・フォーセットも亡くなっており、ファラの死にも触れ、エンターテイメント界のスターが2人も同時に居なくなったのは大変悲しいというメッセージも目立っていた。
海外のアーティストということもあり、日本語では客観的に彼を見ている記述が多かったが、英語圏では、深い悲しみを表現したり、過去の行動に対する議論が交わされていたりと、日頃から彼の存在や行動がより身近な話題となっていたのではないだろうか。
いずれにせよ、彼が世界中から注目された存在だったことに間違いはないだろう。マイケル、ファラの冥福を祈る。
(ネットレイティングスアナリスト 中村義哉)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス