人類が初めて月に降り立ってから40年たった今、米航空宇宙局(NASA)は、地球に最も近いこの天体に再び到達しようとしている。
だがこれは、月のほこりに埋もれた40年前の足跡をたどるというだけではない。今回NASAは、議会などを説得して必要な予算を得ることができれば、月への打ち上げを前哨基地につなげ、ゆくゆくは火星へロケットを発射したいとしている。
この新しい試みは、着想の段階をとうに過ぎている。2隻の宇宙船が最近打ち上げられ、月の地図を作るため、そして月の南極のクレーターにある永久に光が当たらない領域に氷が本当に存在するかどうかを調べるため、探査をすることになっている。氷は、月での生活をはるかに容易にする可能性があり、理論的には新しいロケットの燃料にさえできるかもしれない物質である。
より大きな月着陸船「Altair」の技術責任者であるJohn Connolly氏によると、NASAは、3年目に入ったコンステレーション計画によって、2020年には月に人間を着陸させ、「辺境の地の足がかり」となる前哨基地を作ることを望んでいるという。
しかし、地球の重力を克服する方が、経済不況にある国の財政的な制約を克服するよりもたやすいかもしれない。
NASAの探査システムミッション理事会統合局のディレクターであるJohn Olson氏は、2020年までに月に着陸するという目的を達成するのは「現在の予算を考えて、何も変わらないとすれば、非常に難しくなるだろう」と述べている。
現在の予算計画は不確定だ。米Obama政権は5月、「NASAの探査活動を現在の予算概要内に収める」ことを目標に、有人宇宙飛行計画の見直しを命じた。
ロシア人をしのぐようNASAを駆り立てていた冷戦競争はもうないが、月に行くこと、そしてさらにその先へ進むことの全体的な理由は相変わらず同じ、インスピレーションと科学である。
Olson氏は、初の月への飛行について、「Apolloから得た最も重要なことは、不可能なことはないと教えられたことだ」と述べている。米国時間7月20日は、「Apollo 11号」月面着陸の40周年だった。
Olson氏は、月だけでなく火星や小惑星にも人類を送り込むことを目標とする新しい計画は「次世代の学生、研究者、エンジニア、科学者に刺激を与えている」と述べている。
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