マイスペースとポニーキャニオンは7月13日、業務提携し、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「MySpace」にてCD音源の販売サービス「myspaceCD」の提供を開始した。
myspaceCDは、MySpaceに登録するアーティストの音源をダウンロードし、ユーザーのPCにてCD-Rに書き込むことができるサービスだ。音源はCDのデータを無圧縮で取り込めるほか、ジャケット画像やレーベル面の画像データも付属する。
myspaceCDでCDを販売するには、(1)MySpaceおよびmyspaceCDのアマチュアアーティストに登録(2)楽曲・アルバムを登録(3)ジャケット・レーベル画像登録--の3つの手順を踏む必要がある。楽曲はポニーキャニオングループにて審査をし、MySpace内のmyspaceCDの専用サイトにて順次公開する。
公開できる楽曲は、音楽著作権管理事業者に登録していない楽曲のみ。販売価格はアーティストが300〜1万円のあいだで自由に選択できる。なお、販売にかかる費用は以下のとおり。固定費は無料となっており、手数料も売上の半分となるため、アーティストは金銭の負担なしでCDを販売できる。
楽曲の審査は、ポニーキャニオングループのディレクターやプロデューサーが担当する。そして優秀な楽曲やアルバムを制作したアーティストに対しては直接コンタクトを取り、サポートを行っていく。将来的にはポニーキャニオングループのPCI MUSICにてインディーズCDの発売やマネジメントを行い、ポニーキャニオン本体でのメジャーデビューまでを検討する。
ポニーキャニオン事業開発本部本部長小林聡氏はmyspaceCDについて、「広い意味でのアーティスト発掘とアマチュアが無料で利用できるダイレクトCD販売サービスという2つの側面がある」と説明する。
インターネットに詳しくないアーティストでも利用しやすいよう登録に必要な情報や手順を簡素化したほか、サービスも無料提供。さらに販売サイトではレコメンドのほか、ディレクターやプロデューサーがコメントをつけ、優秀なアーティストに対しては直接コンタクトをとる--このように登録から販売までアーティストをバックアップすることで、ポニーキャニオンにとってはアーティスト発掘の範囲が広がり、マイスペースにとっては利用者の増大が図られる。「MySpaceを通して、(myspcaceCDから同社グループでのインディーズCDの発売、メジャーデビューという)階段型の公開オーディションを行う。MySapceの2億ユーザーというフィルターを通して才能を発掘する」(小林氏)
同サービスではヴィジョネアとポニーキャニオンが共同開発したダウンロード販売システムを採用している。これを利用することで、アーティストは特別なソフトを必要とせず、楽曲のデータをアップロードできるという。現在はWindowsのみの対応だが、近くMac OSにも対応する予定だ。
マイスペース代表取締役社長の大蘿淳司氏は2008年1月の社長就任以来、「一番大事なのは表現者がいかに元気になっていくか。そのために(国内の)戦略の柱として“アーティスト支援”をしてきた」と説明する。マイスペースでは現在PC・モバイル向けに楽曲のダウンロード販売やオリジナルTシャツの作成サービスなどを手掛けている。現在登録されているアーティスト数は12万組に至るという。
今回の取り組みに関して大蘿氏は、(1)CDのパッケージとしての力を再発見する(2)MySpaceをアーティスト側からの「プロモーション」の場だけでなく、支援を行うことで次世代アーティストの積極的な発掘を行う(3)日本のアーティストの世界展開を支援する--という3つのポイントで期待していると語る。
現時点では日本版のMySpace以外には同サービスを導入する予定はないとのことだが、大蘿氏は「MySpaceはトップページではなくアーティストのプロフィールへのアクセスが多い。(プロフィールを英語対応にするなど)言語を工夫するだけで販売できる」としている。両社ではサービス開始1年で2000人の利用と1億円のCD販売売上を目指す。
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