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小型一眼レフ、ペンタックス「K-7」開発秘話--“隙のないモノづくり”の裏にあるもの

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 6月27日、ペンタックスのデジタル一眼レフカメラ「K-7」が発売された。前評判が高く、予約を開始してまもなく、締め切ってしまったショップもあったという。K-7はどのようなコンセプトで作られたのだろうか。HOYA PENTAX イメージング・システム事業部 マーケティング統括部 商品企画グループ マネージャーの川内拓氏と商品企画グループの若代滋氏に話を聞いた。

  • Limitedレンズの1つ「FA31mmF1.8AL Limited」

 「K-7は、“Limited”レンズが似合うボディを意識して作りました」──そう語るのは、若代氏だ。これまでのKシリーズと言えば、流線型の親しみやすいボディラインが特徴だったが、K-7は直線的な印象を受ける。

 Limitedレンズは、ペンタックスの高品位単焦点レンズシリーズに冠されている。Limitedが示す通り特別なレンズであり、レンズや内外装、設計に至るまで妥協をしない、「ペンタックススピリッツ」を具現化したレンズとなっている。そんなところからも「K-7」に対するペンタックスユーザーの期待は高まるというものだ。

  • 1980年発売した一眼レフカメラ「PENTAX LX」

若代:そもそもLimitedレンズは、アルミの削り出しやシャープなデザインが特徴です。それに合わせるとなると流線型ではなく、シャープでソリッドなイメージを持たせたいと思いました。なにもかもてんこ盛りという機種で、過去の名機である「ペンタックス LX」を意識した形となっています。

――ペンタックス LXといえば防塵・防滴構造を搭載した一眼レフ機の先駆けとして知られています。K-7も特徴の1つに防塵・防滴を挙げていますね。

  • 新たに発売した「K-7」

若代:これまでいわゆる高級機の証しであった“防塵・防滴”をミドルクラスの「K10D」から搭載していた実績があります。そしてK10Dから「K20D」、そしてK-7へと受け継がれています。

 実は、K10Dで採用されていたプラスチック外装は開発の段階で微妙にたわんでしまい、当初防塵・防滴構造を維持するのは難しかったという経験があります。その開発ノウハウがK-7に活かされています。特にマグネシウム外装を採用したことで、たわみがなく、信頼度は格段に向上しています。

――キットレンズにも“簡易”防滴機構が採用されています。

  • HOYA PENTAX イメージング・システム事業部 マーケティング統括部 商品企画グループ マネージャーの川内 拓氏

川内:K-7のキットレンズである標準ズームレンズの「smc PENTAX-DA 18-55mmF3.5-5.6AL WR」と望遠ズームレンズの「smc PENTAX-DA 50-200mmF4-5.6ED WR」に簡易防滴機構を採用しています。上位レンズシリーズである★(スター)レンズは防塵・防滴構造を採用していますが、実はこれまでにも「DA17-70mmF4AL[IF]SDM」のマウント部には簡易防滴用のシーリングを施していたのです。

 ただし、このレンズに関しては、レンズ全体にシーリングが施されていないため“防滴”を謳えないというもどかしさがありました。

  • 簡易防滴機構を採用したWRシリーズ

 今回発表した「WR」と付くこれらのレンズは、マウント部以外にもしっかりとシーリングを施し、雨程度であれば安心して撮影を行えるようになりました。また、見た目にわかりやすくマウント部には赤いシーリングが施されています。もちろん、目に見えない内部は余計な反射を防ぐ意味でも従来通りの黒色のシーリングです。

――今後も簡易防滴機構を採用するWRシリーズは増えていくのでしょうか。

川内:基本的にWRという簡易防滴は今後のレンズに採用して普及させていきたいと考えています。「屋外で使うなら弊社のレンズは最適ですよ」とアピールしていきたいですね。

  • 商品企画グループの若代 滋氏

若代:一言で防塵・防滴といっても、メリットとデメリットがあります。防塵・防滴の対応を謳うには、シーリングを施す必要があり、結果それなりの大きさが必要です。そのため、レンズ自体が大きくなってしまい、重さも増えます。

 簡易なものであればキットレンズのような小型で軽いレンズにも採用は可能です。なにかと難しいところではありますが、一眼レフのシステムとして防塵・防滴に対応したレンズを続けて行きたいと考えています。

――防塵・防滴だけでなく「−10℃耐寒動作保証」というのは興味深いところです。

若代:弊社(メーカー)がカメラとしてマイナス温度での動作保証をするというのは思い切った決断でした。まず、電子デバイスというのは基本的にマイナス温度での動作保証を行っていません。従って、部品メーカーが保証していない分を保証するわけです。

 部品の1つにでも不具合が起きたら動作保証を行うことはできません。そこで開発者はさまざまな環境で試験していました。耐寒実験ですので、スタッフの負担は結構なものでしたね。

川内:商品の差別化という意味でも、マイナス温度保証ができるかできないかというのは重要なポイントでした。この機能を言えるかどうかは本当にギリギリで、製品の発表を控え、試験の結果をヤキモキしながら待っていました。

 この機能1つで、カタログの作り方まで変わってきてしまうものですから……。耐寒性能としてOKパーツを集めてくるのではなく、結果としてOKなものをメーカーが作る。保証しなければダメということで、時間との戦いでした。

――防塵・防滴に耐寒動作保証など、他社製品の高級機で搭載されている機能を搭載していますね

若代:撮影するということは、キズや汚れといったリスクがつきまとうものです。価格的に高い高級機ほど多くの機能・機構を備えておりハイスペックなものですが、高いものほど大事に使いたくなってしまいますよね。価格を考えると積極的に使うというのは難しいかもしれません。

 K-7も10万円を超えるモデルですから、高価なカメラではあるのですが、他社のさらなる高級機で搭載されているような「防塵・防滴機構」や「−10℃耐寒動作」そして堅牢性の高い「マグネシウム合金外装」といった高い耐久性をこの価格で誇っていますので、安心して利用いただけるのではないかと思います。

川内:どんなカメラであっても自分の持ち物ですから、大切に扱っているとは思います。ただやっぱり、壊れた時に「自己責任」と突き放すよりもしっかりとメーカーがサポートしているという「安心感」は重要だと思うんです。安心できないカメラで撮影する時は、間違いなく撮影に集中することができません。ですから、そういったことを考えると環境に左右されない「安心感」というのはユーザーメリットの1つではないでしょうか。

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