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マルキュー成功の要因は何か

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 前回の記事では、ファストファッションのメカニズムを説明しながら、それが現在の日本で受容されようとしている要因の1つに、層の厚いハイレベルユーザーの存在があると説明しました。今回は、より具体的にファッション市場のメカニズムの変化を、事例を基にご説明していきたいと思います。

 東京大学で行われております講義「コンテンツ産業論」では、先日、株式会社ジャパンイマジネーション社長の木村達央さんをお招きし、「“マルキュー”の徹底した顧客指向」というタイトルで講義をしていただきました。

 この社名(ジャパンイマジネーション)を聞いてもピンとこない読者の方も、ブランド名を聞けばわかるのではないでしょうか。同社は「セシルマクビー(CECIL McBEE)」をはじめとする「ギャル」や「ギャルのちょっと上の世代」に向けたファッションブランド(セシルリンクなど)を展開しています。

 「マルキューのセシル」といえば、若い女性に対して抜群の知名度があり、109ブランドの代表格といえます。現在では、海外ブランドのデザイナーも同社のブランドに注目しているなど、その影響力は世界にまで及んでいます。また、最近出たAERA(2009年6月8日号)に同社を取り上げた記事が掲載されていましたので、そちらをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

 いわば、渋谷系の代表格と呼ばれるような同社の経緯に、木村さんの講義を再現しながら触れつつ、ファッション市場の変化について考えていきたいと思います。

090706_cecil.jpgセシルマクビーのSHIBUYA109店(写真提供:株式会社ジャパンイマジネーション)

戦後の発展と「専門店」の盛栄

 ジャパンイマジネーションは婦人服の専門店を展開している企業です。皆さんは、「専門店」が何を示すかご存じでしょうか。専門店は「取扱品目や客層を絞って、品揃えを統一した店」と定義されます。以前の間宮さんの講義でも説明されていましたように、ファッションにも製造・流通・小売という業種の区分がありますが、専門店は小売に属します。この状況をおさえた上で、ジャパンイマジネーションの特徴を聞いていきましょう。

 百貨店に並んでいるいろんなブランドの店舗などと、専門店との違いがわかりずらいかもしれません。簡単にいうと、ジャパンイマジネーションでは商品を作っていない、デザインしてもいない。さらに、製造部門はないし、デザイナーもいないのです。

 多くのアパレルメーカーが作る商品を仕入れて、お客様に対して販売をする、という活動に特化した企業なのです。そのような意味で純粋な専門店であることがジャパンイマジネーションの特徴といえるでしょう。

 小売に特化した「純粋な専門店」というところが重要なポイントのようですね。ファッション販売も多様化した現在では、小売に特化した業態よりも、製造・流通まで手を広げた業態の方が多くなってきているようです。しかし、同社は販売に特化し、専門性を高めることで比較優位を実現しているようです。

 さらにもう1つの特徴として、ファッションビルや駅ビルのテナントとして出店していることが挙げられます。関東首都圏、札幌、仙台など、大型の主要都市の駅ビルやファッションビルに100%直営で営業しています。店舗は110ほど、売上は230億円程度。これは、ファッション業界では中堅クラスの規模だということです。

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