ネット中立性、米連邦政府から後押し--ブロードバンドインフラ整備の助成金で

文:Marguerite Reardon(CNET News) 翻訳校正:編集部2009年07月03日 15時13分

 Obama政権が米国時間7月1日にブロードバンドの促進策に費やす72億ドルの政府助成金に関するガイドラインを発表したことにより、ネット中立性の支持者は大きな後押しを得た。

 新しいブロードバンドインフラストラクチャの構築を支援する助成金を得る企業は今後、米連邦通信委員会(FCC)のインターネットポリシーステートメントに従う必要がある。ステートメントでは、これら企業が自社ネットワークにおいて、故意にインターネットトラフィックを遮断したり、速度を低下させたりすることが禁止されている。

 ネット中立性の提案者は政府に対し、法案の通過、あるいは消費者が自らが望むコンテンツにアクセスし、競合企業が通信会社から業務を阻害されないことを保証するより厳しい要件を設けることを働きかけてきた。

 電話会社やケーブル事業者は、前大統領政権の下、共和党の影響下にあったFCCの意見が反映されていると思われるこのような法律の制定に反対してきた。しかし、民主党が実権を握っている今、ネット中立性の支持者は、最近正式に就任したJulius Genachowski新議長のもとでFCCがこの課題をどのように処理するかを見極めようとしている。

 民主党が新しい法案を推進するかどうかはまだ不透明だ。しかし、インターネット上のアクセスを保護することの重要性が高まっていることは明らかだ。

 Obama政権は7月1日、3度に分けて提供される助成金の第1弾に申請する企業やグループに対してガイドラインを発表した。この助成金は、2009年初頭に議会を通過した緊急経済対策の一環として、ブロードバンド促進のために分配される。

 助成金の第1弾は約40億ドルであり、政府が今後2年間のブロードバンドインフラストラクチャ整備への資金供給として割り当てた72億ドルの半分以上となる。そのうちの約47億ドルは、サービスが提供されていない、またはサービスが不十分なエリアでのブロードバンドインフラストラクチャの構築、公衆安全の拡充、ブロードバンドの需要喚起のための助成金として国家通信情報管理局 (NTIA)によって分配される。残りの25億ドルは、農務省(USDA)によって、地方にブロードバンドインフラストラクチャを構築するサービスプロバイダへの融資として分配される。

 今週提出された規定では、別の重要な側面として、政府によるブロードバンドの定義も注目された。助成金の規定は、エンドユーザーに対するブロードバンドの伝送速度を、下り768Kbps、上り200Kbps以上と定義している。これらの速度は、ケーブルモデムサービスや、VerizonのFiosサービスなど、他の高速インターネットサービスに慣れた多くの利用者にはブロードバンドとは言えない速度だろう。

 速度の定義が低いことにより、低速のDSL接続またはワイヤレスサービスでしかサービスを提供することができないかもしれない地方市場に取り組む企業も助成金を得ることが可能だ。しかし、より高速なサービスを促進している中で、政府は高速サービスの提供を計画している企業を優先させるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ

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