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株式市場に東芝リード役待望ムードが浮上--原子力発電事業に期待

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 日経平均株価は、5月以降順調な上昇をみせ1万円の大台に迫る勢いだ。しかし、自動車、電機など時価総額の大きな国際優良株のほとんどが、今期の2010年3月期の業績不透明という環境の中で、“リード役不在の株価上昇”との声も聞かれる。こうした中で一部市場関係者の間で、東芝の今後の株価上昇を期待する声が高まっている。その期待の背景と株価見通しを探った。

 同社は5月8日に今期の2010年3月期の連結決算(米国会計基準)予想を発表した。それによると、売上高6兆8000億円(前期比2.2%増)、営業利益1000億円(前期は2501億円の営業赤字)、最終損益500億円の赤字(前期は3435億円の赤字)となる見通しだ。前期の2009年3月期に赤字を拡大させる要因となった半導体部門については下期にかけて回復を見込み、電子デバイス部門では営業損益ベースで前期に比べて2632億円の改善を見込んでいる。

 また、携帯電話やハードディスク装置を中心としたデジタルプロダクツ部門でも採算改善により、392億円の営業損益改善を見込み、電力・産業システム、ソリューション事業の社会インフラ部門で368億円、白物家電を中心とした家庭電器部で271億円とそれぞれ営業損益での改善を予想している。

 特に、前期に市況の予想以上の大幅下落で全般業績の足を引っ張ったNANDフラッシュメモリーの価格は、昨年後半の安値水準に比べ、すでに2〜3倍の水準にまで回復をみせており、業績上方修正の可能性もある。

 市場関係者が東芝の株価上昇への期待感を強めているのは、同社の原子力発電所事業の中長期的な成長を見込んでいるためだ。同社は、米国の原子力発電メーカーのウエスチング・ハウスを傘下に持ち、原発市場で世界トップの座を占めている。最近は世界的な温暖化防止に伴うCO2(二酸化炭素)削減の動きが活発化する中で太陽電池、風力発電などが注目を集めている。しかし、石油や石炭を燃料とする火力発電に比べてCO2(二酸化炭素)排出量の少ない代替エネルギーは、当面現実的には原子力発電以外に想定し難い。

 長年安全性の問題から原子力発電所建設への懸念はあるものの、英国が20年ぶりに原発新設へと方針を図るなど、欧州でも見直しの動きが出始めているのをはじめ、米国では、2025年までに原子力による発電比を現状の19%から50%にまで高め(約200基の原発建設が必要)、中国では原子力発電規模を現状の900万キロワットから、2020年までには7500万キロワットに引き上げる計画で、今後3年間で原発を16基、20年までに60〜70基建設計画を打ち出している。このほか、インドやブラジルでも大規模な原発建設計画がある。こうした中で、東芝は、原発建設のトップメーカーとして中・長期的に収益を大幅に拡大する可能性があるというわけだ。

 東芝の株価は、5月12日に409円と高値をつけた後5月22日には331円まで調整したものの、先週末の5日には356円まで上昇をみせている。直近5月31日現在の東証信用倍率は0.7倍と売り残高が買い残高を大きく上回っており、先高期待感が高まっている。当面は1月7日につけた年初来高値の442円の奪回が目標になるが、中期的には500円台乗せを目指した値動きも期待できそうだ。

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