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YouTubeで話題のスーザン・ボイルさん、決勝進出へ--英オーディション番組

文:Chris Matyszczyk(Special to CNET News.com) 翻訳校正:編集部2009年05月26日 14時21分
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 これだけ全世界に自分自身をさらけ出した彼女が、出だしの音程を外したからといって今さら誰も驚きはしないだろう。

 YouTubeのおかげで一躍世界の注目の的となったSusan Boyleさんが、とても背負いきれないほどの期待を一身に浴びて英国のオーディション番組「Britain's Got Talent」における2度目のステージに登場した。

 髪はやや濃い色に染められ(それでも適度に爆発していた)、眉はいつものように憂いを帯びている。衣装は前回よりも少し高価なものになっていた。

 そして肝心の声の方は、部分であまりの大勢の人々の注目の前にひるんでしまったようだ。

 彼女が歌い始めたのはミュージカル「Cats」の「Memory」。その出だしの部分は、同曲の作曲家Andrew Lloyd Webber氏が意図した音とは違うものだった。

 しかし、どんよりとした気候のスコットランドでの長い年月で築き上げられた禁欲の精神と、まるで無能であるかのようにいじめられ、ばかにされてきた人生経験を持つ彼女は負けなかった。

 彼女は歌の途中で、まるで調子の悪いバグパイプの袋を扱うときのように自分の横隔膜のあたりを2度つかんだ。

 彼女がお腹を数回押さえると、彼女の声が突然よみがえった。まるで袋の中に迷い込んでピクピク動いていたこうもりが追い出されたかのように。

 今回の彼女の歌は、1度目の「I Dreamed A Dream」と同じぐらい素晴らしいものだったかと問われると、答えは否である。しかし彼女の運命は今回のステージにかかっているわけではなかった。わたしたちもこの1回で彼女を判断するつもりなどない。実際、終盤に近い部分でもう1度、音程が怪しい箇所があった。

 そんなことはもうどうでもいい。なぜなら世界は今や、歌声だけでなく彼女のすべてのとりこになってしまったのだから。

 審査員らは全員、彼女にスタンディングオベーションを送った。その光景はまるで、誤った飛行機に乗せられて、ロシアのブレジネフ書記長の時代の党大会に連れて行かれたかのような錯覚を覚えるほどだった。視聴者は彼女に投票した。そうしなければ自分たちの正直な本能を完全に否定することになるからだ。こうして彼女は来週開催される決勝の最初の候補に選出されたのである。

 投票権のない英国外にいるわたしたちは、心の底から彼女を愛し、彼女の生い立ちにどっぷりとはまってしまうことにより、すでに彼女を見失っているのかもしれない自分たちに気づき始めている。少しずつ、彼女はプロへの道を進み始めている。子どもが自分でお金を稼ぐようになると、自分の洋服を買い始めたり舌にピアスをしたりして周囲を驚かせるように、彼女の印象もやがてもっと変わってゆくかもしれない。

 最初のデビューで鮮烈な印象を受け、これからは楽しみながら、尊敬の念をもって彼女を見ることができる。

 以前の彼女はもうここにはいないのである。

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ

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