華々しい成功だけが「成功」ではない。本書は、そのタイトルどおり、全編に哀愁漂う愛と苦難の起業ストーリーだ。
ところで、「タイツくん」をご存じだろうか。名前は知らなくても、全身タイツのあやしげな男性のイラストは、「日経ビジネスアソシエ」「週刊SPA!」などの雑誌でなじみのある方も多いだろう。「励行カード」というかるた式のイラストには、タイツくんと一緒に思わず納得してしまう鋭いひと言が添えられている。
本書はその「タイツくん」を生み出した、スイスイ社代表の松岡宏行氏と彼を囲む人々の、一応の(?)成功物語である。「一応」というのは、本書を読んでいただければ納得されると思うが、とにかく、一難去ってまた一難。大きな仕事をやり遂げたと思ったら、すぐに次の難題が降りかかる。ようやく問題が解決して「ついに順風満帆」かと思えば、それも違う。これほど、かつかつの生活感漂うビジネス書はそうないだろう。
だからこそ、人間、立ち止まったり、振り返ったりしてもいいのだと勇気をもらえる。要所要所にちりばめられた、タイツくんの励行カードを眺めるだけでも楽しいが、くれぐれもパソコンの前で何か飲みながら読まないように。吹き出して、パソコンが壊れても責任は持てない。
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