空気を燃料として稼動する新たなバッテリの研究が進んでおり、現在のバッテリ設計と比較して、最大10倍のエネルギー供給が可能となるほか、将来的には、電気自動車、携帯電話、ノートPCなどの電源に利用できるようになることが、研究者らによって示された。
英国スコットランドのセントアンドリュース大学化学部のPeter Bruce教授は現地時間5月18日のニュースリリースで、「これまでの研究結果は、非常に望ましいものであり、当初の期待もはるかに上回った」と語っている。
研究者が実験に取り組んでいる、この新たなアイデアでは、現在の充電式リチウム電池内部に用いられている、コバルト酸リチウム正極の代わりに、多孔性炭素正極が用いられる。セントアンドリュース大学で行われている研究を資金面で援助する、英国工学物理科学研究会議(EPSRC)が発表したプレスリリースによれば、これによって、セル内のリチウムイオンおよび電子は、外気の酸素と反応することになる。同プロジェクトは、EPSRCより、およそ160万ポンド(約240万ドル)の助成を受けている。
研究者によると、新たなアイデアでのバッテリ設計で、ポータブル電子機器の性能向上が図られる可能性があり、再生可能エネルギー産業にとっては、大きな進歩がもたらされる。研究者は、このバッテリを用いて、風力や太陽光などを源とする、安定した電力供給が実現するとのシナリオを描いている。「STAIR」(St. Andrews Air)と呼ばれるセルは、電気自動車の動力源としても期待されている。
STAIRセルは、現在の充電式電池よりも、安価なものになる見込みであることが、複数の研究者によって、明らかにされている。多孔性炭素が原料となる新たなコンポーネントは、現在、一般的に用いられているコバルト酸リチウムよりも、はるかに安価である。
Bruce教授は「バッテリ内部に必要な化学物質を配置するのではなく、空気中の酸素との反応を利用することが、カギとなっている」と述べた。
4年におよぶ研究プロジェクトは、2007年よりスタートし、2011年6月に終了する予定である。Bruce教授は、STAIRセルが商品化されるまでに、少なくとも5年はかかると予測している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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