“複雑系”使ったレコメンデーションで世界に羽ばたく--サイジニア吉井社長

岩本有平(編集部)2009年05月18日 18時41分

 行動履歴や属性情報をもとに、そのユーザーにとって最適な情報を提案する「レコメンデーションエンジン」。この分野に複雑系工学理論でアプローチするのがサイジニアだ。

 すでに海外でも評価され導入実績を持つ同社のレコメンデーションエンジン「デクワス」は、ウェブビジネスをどのように変えていくのか? そしてまた、同社は今後、どういった事業を展開していくのか。代表取締役CEOの吉井伸一郎氏に聞いた。

--サイジニアはどういったサービスを提供しているのでしょうか。

 我々は、「行動履歴をアーカイブして、ビヘイビア・ウェアハウスを作っていく」ということをミッションと考えており、その実現に向けてさまざまなサービスを作っていく予定です。

 その1つがレコメンデーションエンジン「デクワス」です。よく“レコメンデーションエンジンの会社”と思われがちですが、それがサイジニアのゴールではありません。

 社名のサイジニアとは、サイエンスとエンジニアリングを合わせた造語です。サイエンティストが考えるアイデアを、優秀なエンジニアが具現化するということをモットーにしています。

サイジニア代表取締役CEOの吉井伸一郎氏 サイジニア代表取締役CEOの吉井伸一郎氏

--以前は北海道大学の助教授を務めていたということですが、どういった経緯で起業に至ったのでしょうか。

 私はもともと、複雑系工学のサイエンティストとして生物の進化・学習メカニズムをロボット工学に応用する研究をしていました。そしてこの研究をウェブの世界で使ってみたい、という思いを持ったのが10年ほど前です。その頃と言えば、ちょうどGoogleが起業したばかり。研究者の論文をきっかけにして、世界規模のサービスを展開していった同社を目の当たりにしたことも、起業に興味を持ったきっかけになりました。

 起業を志した際、私には足りないものが3つあると考えていました。それはビジネス経験とビジネスに転用できるさらなる技術理論、そして優秀な人材です。そこでまず私はソフトバンクBBへ入社し、ブロードバンドや携帯電話などの通信技術の研究や標準化活動に従事しながら、先端技術からマネタイズするプロセスを経験しました。

 その後北海道大学の助教授になり、複雑ネットワーク理論の研究を開始しました。ウェブを利用するたび、膨大な行動履歴が発生しますが、この種のデータを解析する一般解法はこれまで存在しませんでした。この複雑ネットワーク理論を応用すればウェブでビジネスができるのではないかと思い、大学の研究室を通じて知り合った吉村(真弥氏。サイジニア専務執行役員CIO)と寒河江(道博氏。サイジニア常務執行役員CTO)と私がファウンダーになる形で2007年に起業しました。

--デクワスについて教えて下さい。

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